基礎研究と臨床研究、その違いとは 〜医師も混乱する、複雑な事情
新聞やネットニュースなどで「基礎研究」「臨床研究」という言葉を見たことがあるかもしれない。語感からなんとなくの意味は想像できるが、実はこの言葉、少し特殊な使われ方をしているようだ。今回は医療ニュースを読むときに意識したい2つの「研究」について解説する。
市川 衛
今回も質問から。「基礎研究」という言葉の説明として、次の4つのうちのどれが最もふさわしいでしょうか?
1)筋肉の動きなど、生物の基礎的な働きに関する研究
2)具体的な用途や応用を直接的な目的にしていない研究
3)医薬品の候補としたい物質を、細胞などに与えて反応を見る研究
4)物理学や数学などで、様々な理論の基礎となる仕組みを調べる研究
正解は2)です。いま世界中で行われている数多の研究は、「具体的な応用の用途があるかどうか」で大きく2つに分けることができます。例えば「ブラックホールの成り立ちを調べたい」とか、「細胞が分裂するときに、どんな遺伝子の変化が起きているのか確かめたい」というような研究は、すぐロケット開発とか医薬品の製造などに応用出来るわけではありません。一方で…
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