正しい医療健康情報はどこで手に入る? 「正しい」を立ち止まって考える

さまざまなメディアで情報が流れる今、「正しい情報を手に入れることが大事」という意見に反対する人はいないだろう。しかし、「正しい情報」とはどんな情報か、立ち止まって考えてみるとそれは思いのほか曖昧な基準に基づいているかもしれない。

正しい医療健康情報は
どこで手に入るか?

市川 衛

市川 衛

2000年、東京大学医学部健康科学・看護学科卒業後、NHK入局。
医療・健康分野を中心に国際的に取材活動を展開。2016年スタンフォード大学客員研究員を経て、2017年一般社団法人メディカルジャーナリズム勉強会を設立し代表に就任。2021年にNHKを退職後は、READYFOR株式会社 基金開発・公共政策部門の責任者として社会課題の解決のため活動する団体の支援事業を行う。2020年より広島大学医学部客員准教授(公衆衛生)に就任。東京大学、産業医科大学などで医師や医学生を主な対象に教育活動を行っている。

新型コロナのパンデミックを受けて、「正しい医療健康情報が大事」という言葉を目にするようになりました。異議を唱える人は少ないと思いますが、あえて考えてみます。

「正しい」医療健康情報とは、どんなものでしょうか?

「エビデンス(根拠)がある情報」や、「統計データに基づいている情報」などが思い浮かびます。では、もう少し具体的に考えてみます。次の情報は、正しいでしょうか。

「日本では、がんで死ぬ人は、増え続けている」

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