GIGAスクール構想「その後」の壁  ICT担当者7割以上が学校ネットワークに課題感

株式会社バッファローが2025年8月22日から同年8月26日にかけて実施した「学校現場におけるICT活用とネットワーク環境に関する調査」により、GIGAスクール構想で整備された一人一台端末環境の「その後」の課題が浮き彫りとなった。調査は教育委員会のICT担当者86名を対象にインターネット調査として実施され、70.9%が現在の学校のWi-Fi環境に「改善の必要がある」と感じていることが明らかになった。

最多の課題は「多台数接続時の通信不安定」

GIGAスクール構想によって児童生徒一人一台の端末環境は整備されたものの、それを活用する基盤となるネットワーク環境に課題が集中している実態がある。Wi-Fi環境の改善が必要だと回答した担当者に具体的な課題を尋ねたところ、最も多かった回答は「一人一台端末を使用する際など、多台数の端末を同時接続した場合に通信が不安定になる」(55.7%)であった。

株式会社バッファローhttps://www.buffalo.jp/biz/ の公式プレスリリースより


次いで、「一斉に動画視聴をした際に、再生速度にバラツキが発生し授業進行に支障が出る」(44.3%)、「オンライン授業時に、映像や音声が途切れることがある」(34.4%)と続き、授業でのICT活用が本格化する中で、ネットワークの安定性が喫緊の課題となっていることがうかがえる。

ネットワーク管理におけるコストの課題

円滑なネットワーク運用に不可欠な「機器の集中管理サービス」については、69.8%の自治体で「利用している」との回答があった。一方で、サービスを利用している担当者の46.7%が「ライセンスの更新費用が高く、継続に課題を感じている」と回答。また、サービスを利用していない理由としても、「初期導入費用が高額」(38.5%)、「導入後のライセンス更新費用が継続的な負担になる」(38.5%)が上位を占めており、導入と運用の両面でコストが大きな障壁となっている実態が示された。

次期リプレースでは「安定性」と「セキュリティ」重視

今後のネットワーク機器リプレースで重要視する機能については、「セキュリティー機能の高さ」(52.3%)が最も多く、次いで「多台数接続時の通信安定性」と「通信速度の速さ」が同率(48.8%)で続いた。GIGAスクール構想の次のステップを見据え、より高度で安定した通信環境と、児童生徒が安心して利用できるセキュリティ対策が求められている。多くの自治体では現状把握も進んでおり、ネットワーク環境の調査・分析を行う「ネットワークアセスメント」について、40.6%が「実施済み」、32.6%が「実施予定」と回答、全体の7割以上が現状の課題把握と改善に前向きであることがわかる。

今回の調査から、GIGAスクール構想の導入から数年が経過し、教育現場では一人一台端末を日常的に活用するフェーズへと移行する中で、ネットワークインフラの課題が顕在化していることが明らかになった。特に、多数の端末が同時に接続される学校特有の環境下での通信の安定性確保と、持続可能な運用を可能にするためのコスト管理が、今後の教育DXを推進する上で重要な鍵となりそうだ。