事業構想大が「事業承継コース」を新設、構想力のある承継者を育成

事業構想大学院大学は、高い経営分析力と事業構想力を兼ね揃えた事業承継者の養成を目的として、2024年4月に「事業承継コース」を新設。事業承継予定者や第三者承継予定者など、同コースを履修した院生たちがディスカッションを重ね、切磋琢磨できる場を創出する。

広がる事業承継の選択肢
「第三者承継」の人材も育成

事業構想大学院大学は、事業構想と構想計画を構築・実践する社会人向け大学院だ。事業の根本からアイデアを発想し、事業の理想となる構想を考え、実現するためのアイデアを紡ぎ、構想計画を構築していくことを対象とした多様なカリキュラムを提供している。

院生は多彩な業界で活躍する他の院生や教員と議論を重ね、2年間の科目履修と事業構想計画書の提出を経て、専門職学位の「事業構想修士(専門職)」(MPD:Master of Project Design)を取得する。拠点は東京、大阪、名古屋、福岡、仙台の5校舎で、現在12期目・計572名が修了。その中には多くの承継者・承継予定者も含まれている。

事業構想大学院大学は今年4月、「事業承継コース」を新たに開設する。昨今、激変する社会環境の中で、日本の多くの中小企業は後継者難に直面している。事業承継の方法として、親族間の承継や親族外の第三者承継などがあるものの、計画的な承継活動を怠れば黒字のまま廃業することもあり得る。

後継者の育成や事業承継の実現は簡単ではなく、法務や税務関係の書類の提出だけでは、事業の本質的な価値は承継されない。次期経営者は先代の理念や経営資源を受け継ぎ、変革を成し遂げることが求められる。

今年4月に新設する「事業承継コース」では、経営者としての心構えを身につけ、「事業構想サイクル」の概念と手法を学び、承継後の事業構想計画書を策定する。主要教員からの講義はもちろん、同コースの院生たちとディスカッションを重ねてお互いの実践知を磨き、次期経営者の承継対策と、承継後の事業を構想するコースとなる。

主な対象者は、親族の承継予定者、社内の非親族の承継予定者、社外の第三者承継予定者、承継者の右腕となる役員(役員・幹部候補者)、承継後の若手経営者など。履修者は、既設の「事業構想コース」のカリキュラムに加えて「事業承継コース」の科目群を履修する。

開講科目のイメージは、事業承継の基礎や自社研究・経営資源分析、事業承継における組織・人材戦略とリーダーシップなどだ(予定)。それらの科目を通して院生同士で切磋琢磨しながら、企業理念の明確化、ステークホルダーからの期待の理解、社会における存在価値の追求、時代にあった商品・サービスの開発などに取り組む。

事業構想大学院大学の東京校。

事業構想大学院大学では、社会の変化に対応して自社の経営資源を活かしつつ、未来の社会においても必要とされる事業をつくり出す人材を育成・輩出し、日本の活性化に貢献していく考えだ。