企業経営と社会のサステナビリティを議論 GCNJ年次シンポジウム開催

2022年11月21日(月)、東京都渋谷区の東京ウィメンズプラザとオンラインを会場に、一般社団法人グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン(GCNJ)による「GCNJ年次シンポジウム2022 ~サステナブルな企業と社会の構築~」が開催された。

国連グローバル・コンパクト(UNGC)は、国連と民間(企業・団体)が手を結び、健全なグローバル社会を築くための世界最大のサステナビリティ イニシアチブで、1999年に当時の国連事務総長であるコフィ・アナン氏がダボス会議で提唱したもの。

GCNJは2003年12月発足した日本のローカルネットワークで、2022年11月時点で518企業・団体が会員となっている。

21日に行われた年次大会では、特別ゲストとして、国連グローバル・コンパクト・ボード副議長、元ユニリーバCEOのポール・ポールマン(Paul Polman)氏が登壇。ゲスト講演として、共著の近刊『Net Positive』でも取り上げた、ビジネスが環境や社会に与える影響をゼロにするという考えを超え、事業活動を通じて環境や社会にプラスの影響を与えることを目指す「Net Positive(ネット・ポジティブ)」について語った。

続く第一部では、GCNJ代表理事の有馬利男氏がモデレーターとなり「日本企業のサステナビリティ経営」と題したパネルディスカッションを行った。キリンホールディングス株式会社 代表取締役社長の磯崎功典氏と、コニカミノルタ株式会社 取締役 執行役会長の山名昌衛氏が登壇、両社におけるサステナビリティ経営の実践にあたっての道のりを紹介。

その後、第2部としてGCNJ理事で国際航業株式会社 代表取締役会長の呉文繍氏をモデレーターにパネルディスカッション「サステナブルな社会を実現するための経営とは」が行われ、ポールマン氏と磯崎氏、山名氏の3名が登壇、第一部の内容もふまえ語り合った。

第二部では、磯崎氏が「サステナビリティの追求は必要なことと確信をもっていたが、今日のポールマン氏の講演で勇気づけられ、更に推進していく決意が強まった」と話したのに続き、山名氏も「サステナビリティ実現のために企業間の協力が必要なところと競争をしなければならない点があり難しい」と続けた。

これに対しポールマン氏は、「SDGsは一国、一企業での問題ではないためベストプラクティスを共有するネットワークが必要。超規定な成長に目線を向けることが大切で、そうした思いを共有する新しい株主を仲間にすることも重要」と、四半期決算の公開をとりやめたユニリーバCEO時代の経験も交えて応じた。

このほか、ポールマン氏は変革を実現するために、全体をシステムとして捉え問題を考えることのできるビジネスリーダーの育成が重要であるとも指摘、サナビリティ経営の実践には人材育成も重要だと語った。

22.11.29news1

前列左から、キリンホールディングス 代表取締役社長・磯崎功典氏、国連グローバル・コンパクト・ボード副議長のポール・ポールマン氏、コニカミノルタ 取締役 執行役会長・山名昌衛氏。後列左からGCNJ代表理事・有馬利男氏、GCNJ理事・呉文繍氏