日本企業の生成AI導入は進むもガバナンス整備遅れ 3割超の企業で正式ルール未整備

市場調査を手掛けるレポートオーシャン株式会社(本社:東京都中央区、代表者:Sandeep)は、日本国内の企業における生成AIの導入状況や運用実態に関する最新の調査結果を公表した。2026年3月10日から4月17日にかけて、全国の従業員50名以上の企業に勤務する20歳~59歳の就業者1,000名を対象に実施された本調査では、生成AIの活用が広がりを見せる一方で、組織的な管理体制の構築が追いついていない実態が浮き彫りとなっている。

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現場主導の利用が先行し、組織統制に課題

勤務先における生成AIの取り組み状況を尋ねたところ、「複数部門で本格導入している(8%)」と「一部部署で試験導入・実証している(19%)」を合わせた27%の企業が、組織的な導入段階に進んでいることが分かった。しかし、その一方で「会社としての方針はないが、従業員が個別に利用している」との回答も21%に達しており、企業による正式な方針を待たずに現場での活用が先行している状況が見て取れる。

このような運用の乖離を象徴するように、生成AI利用に関する正式な社内ルールやガイドラインの有無については、31%の企業が「正式なルールはなく、各自の判断に任されている」と回答した。包括的なルールを整備済みの企業は12%に留まっており、機密情報・社内データの漏洩や法的・知的財産権上の整理といったリスクに対するガバナンスの欠如が、今後の拡大に向けた懸念材料となっている。

業務効率化ツールとしての期待と人材不足の壁

生成AIが活用、または活用が検討されている主な領域は「マーケティング・広報・コンテンツ制作(31%)」や「社内事務・文書作成・報告書作成(27%)」が上位を占めた。最大のメリットとして「定型・反復業務にかかる時間の削減(35%)」を挙げる声が最も多く、現状では創造的な付加価値の創出よりも、日々の業務負担を軽減する効率化ツールとしての役割が強く期待されている。

導入・拡大を阻む最大の障壁としては「AIスキルや技術知識を持つ人材の不足(27%)」が最多となった。次いで「ROIや事業価値を示しにくい(19%)」が続いており、ツールの導入コスト以上に、それを使いこなし成果へ繋げるための人的資源や評価指標の確立に苦慮する日本企業の姿が浮き彫りとなった。

今後の展望と投資動向

投資意欲については、今後3年間で自社の生成AI投資が「増加する」と見込む回答が46%(大幅な増加15%、緩やかな増加31%の合計)に達した。レポートオーシャン株式会社は、生成AI市場の成長は技術の進化だけでなく、企業側が社内ルールや教育体制をいかに迅速に構築し、運用の成熟度を高められるかに左右される段階に入っていると分析している。