学校のID・ライセンス管理を共通化 Lentranceと東京書籍・光村図書出版・増進会ホールディングスが「デジタル学習基盤構想」

株式会社Lentrance(東京都千代田区、代表取締役社長:石橋穂隆)は2026年9月29日、東京書籍株式会社、光村図書出版株式会社、株式会社増進会ホールディングスと連携し、「デジタル学習基盤構想」を推進すると発表した。学校現場の負担を軽くし、持続可能なデジタル学習環境を実現することが狙いだ。構想の実現には、システムの技術力だけでなく、教育現場への深い理解と教科書・教材発行者のノウハウが欠かせない。今回、教育に関する豊富な知見を持つ光村図書出版が新たなパートナーに加わり、4社の連携で取り組みをより強力に推し進める。

株式会社Lentranceプレスリリースより

構想の背景には、デジタル教科書・教材の活用が学校で日常的になるなかで浮かび上がった新たな課題がある。ユーザーIDやライセンスの管理方法、システムの運用方法は配信事業者ごとに異なるため、学校では登録作業や管理の負担が増している。発行者や配信事業者の側でも、クラウド環境の維持、継続的なセキュリティ対策、システムの保守運用といったインフラへの継続的な投資が大きな負担となり、デジタル学習環境を持続的に運用できるかどうかが懸念されていた。

こうした課題を解決するため、Lentranceは今回の構想を策定した。最大の特長は、事業の領域を2つに分けて整理した点にある。学習体験やコンテンツ、ビューアの独自性にかかわる部分を「独自領域」、ユーザーID管理、ライセンス管理、配信システムといったインフラ部分を「共通領域」と位置づけた。各発行者のビューアやデジタル教科書・教材は独立性を保ったまま提供し、システム運用などの共通領域は「デジタル学習基盤」として連携・共通化を図る。基盤は特定の企業向けではなく、すべての教科書・教材発行者と配信事業者が同じ条件で公平に接続・利用できる「オープンな基盤」として提供する。

構想が掲げる価値は3つある。1つ目は学校現場の負担軽減だ。ビューアごとに異なっていたユーザーIDとライセンスの管理方法を共通化することで、複数事業者のコンテンツを使う場合でも運用が簡単になる。先生の管理負担が大きく減り、児童生徒の利便性も高まる。2つ目は、より質の高いデジタル教科書・教材づくりである。発行者は共通基盤を使うことでインフラ運用への重複投資を減らせるため、教科の特性や校種に応じたビューアの開発など、独自領域に力を注げるようになる。3つ目は相互運用性の向上と安定した利用だ。基盤は、文部科学省CBTシステム(MEXCBT:メクビット)や学習eポータルなど国が進める教育DXの取り組みや、各自治体の校務支援環境とも連携できる構造を備え、デジタル学習環境のさらなる充実と利便性の向上を目指す。

発表にあたり、各社の代表がコメントを寄せた。東京書籍の渡辺能理夫代表取締役社長は、児童生徒がどの教科の教科書にも簡単にアクセスでき、教科書以外の教材も含めて学校でも家庭でも自由に使える環境が実現してこそデジタル教科書を導入する意味があるとし、今回の構想がその確かな一歩となることを願うとした。光村図書出版の吉田直樹代表取締役社長は、発行者やビューアの違いを越えて広く参画できる「ひらかれた学びの土台」を目指すと語る。増進会ホールディングスの藤井孝昭代表取締役社長は、構想を「非常に画期的なもの」と評価し、あらゆる教育関係者にとって価値あるプラットフォームへ発展することに期待を示した。

Lentranceの石橋社長は、先生の運用負担の軽減と持続可能なデジタル学習環境の構築が急務だと強調する。東京書籍、光村図書出版、増進会ホールディングスとともに企業の垣根を越え、次世代の教育インフラの実現に尽力する考えだ。