【WWDC26】(前編)子どもの安全、AIが守る アップルが描くデジタル教育新標準

アップルは2026年6月9日(日本時間)、カリフォルニア州クパティーノのアップル パークで開催中の年次開発者会議「WWDC26」の基調講演において、人工知能アシスタントを「Siri AI」として全面刷新し、iOS 27を含む全プラットフォームへの統合を発表した。子どもの安全性機能の大幅拡充、システム全体のパフォーマンス向上、次世代の画像生成・編集機能なども同時に公開された。

13歳未満は保護者承認が必須に 米国小児科学会と策定した「許容時間」も新設

子どもの安全性機能について、アップルは今回「お子様用アカウント」を基盤とした包括的な再設計を発表した。13歳未満では「閲覧のリクエスト」と「承認と購入のリクエスト」が自動で有効になり、子どもが新しいウェブサイトやアプリを利用する前に保護者の承認が必要となる仕組みだ。コミュニケーションの安全性機能は従来の性的な画像の検出に加え、暴力的・残酷なシーンを含む画像や動画への介入にも対応範囲が広がる。

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スクリーンタイムの管理については、エンターテインメント・ゲーム・ソーシャルメディアの3カテゴリーを合算した1日の推奨使用時間を表示する「許容時間」機能が新設された。推奨時間は子どもの年齢に応じて設定されており、米国小児科学会と協力して策定されたものだという。時間帯ごとに使えるアプリを設定できるスケジュール機能も加わり、授業中は学習支援アプリのみにアクセスを限定するといった運用が可能になる。

グーグルと共同開発した新基盤 「誰もデータにアクセスできない」プライバシー設計

今回の発表の根幹となるのが、アップル・インテリジェンスの新しい基盤設計だ。アップルはグーグルとの緊密な協力関係のもと、グーグルのGeminiモデルのテクノロジーをもとに次世代の基盤モデル「Apple Foundation Model」を共同構築したと明かした。このモデルはプライベートクラウドコンピューティングを通じてデバイス上とサーバ上の双方で動作し、テキスト理解・音声生成・画像理解・画像生成の複数の能力を備える。アップルは「ユーザーのデータはリクエストの処理にのみ使われ、アップルを含む誰もデータを保存・アクセスできない」と説明しており、外部の専門家による検証もこの約束を常に担保する仕組みとして設けられている。

新しい基盤設計の特徴の一つが、複数のアプリを横断してリクエストを完了できる「アプリのアクション」だ。例えば電話アプリで航空会社に発信すると、「通話コンテクスト」機能がメールアプリからフライトの確認コードを自動で取得して画面上に表示する。また新しいシステム統合機能によって写真・メッセージ・カレンダー・地図といった異なるアプリ間の連携が安全に管理される。さらに「画面認識」機能により、現在使用しているアプリや進行中の作業に応じてサポート内容が動的に切り替わる。

「Hey Siri」はそのままに、複数デバイスで会話を引き継ぐ専用アプリが登場

アップルが「パワフルなAIを中心にSiriを再設計した」と表現する新しいアシスタントは、正式名称を「Siri AI」として発表された。従来通り「Hey Siri」と呼びかけることで起動でき、個人の利用状況の把握・アプリをまたいだ操作実行・画面上の内容の認識・画像理解・幅広い知識へのアクセスといった能力を一体的に活用する。

会話履歴を参照・継続できる専用の「Siriアプリ」が新設され、iCloudを通じてiPhone・iPad・Macの間で会話を引き継げる。iPhoneではダイナミックアイランドから下にスワイプして会話を開始でき、Macではスポットライト検索にSiriが統合されたほか、右クリックのコンテクストメニューからも呼び出せる。アップル ウォッチ向けには手首の上でアクションを実行できるよう最適化され、アップル ビジョン プロではSiriを立体的に空間内に配置し、視線を向けるだけで起動する形態となった。

発表の中でデモンストレーションされた活用例として、ワールドカップの試合日程を調べたうえで観戦パーティーのメニュー案を生成し、メッセージアプリのグループチャットへの送信まで一連の流れをSiri AIが完結させるシナリオが紹介された。Siri AIはまず英語での提供が始まり、その後速いペースでほかの言語へ展開される予定だ。欧州連合域内ではデジタル市場法への対応のため当初iOSおよびiPadOS上でSiri AIを利用できず、macOSおよびビジョンOSでは利用可能となる。中国では規制要件への対応が完了するまで新機能が提供されない。