家庭での金融教育、親の約4割が実施も課題浮き彫り 「何を教えれば」が障壁に
ソニー銀行株式会社が2025年10月8日に公表した「家庭での金融教育に関する調査結果」によると、子どもがいる家庭の約40%が家庭内で金融教育を行っていることが明らかになった。一方で、「資産形成」や「金融トラブル」といった高度な内容については、親が子に学んでほしいと願いつつも、実際に教えることができていない実態も浮き彫りになっている。
小学生から金融教育開始 年齢で学習ニーズ変化
この調査は、ソニー銀行の顧客2,709名を対象に実施されたもの。子どもがいると回答した2,110名のうち、家庭で金融教育を「している」と答えた割合は約40%(847名)であった。年齢別に見ると、5歳以下の子どもへは28%、6歳~8歳の子どもへは46%と、お小遣いを渡すケースが増える小学生になる6歳以上から実施率が大きく上昇する。6歳から18歳までの小学生から高校生にあたる子どもがいる家庭では、半数近くが何らかの金融教育を行っていることがうかがえる。
ソニー銀行株式会社のプレスリリースより
親が子どもに学んでほしい内容としては、「お金の大切さと価値」や「お金の管理方法」が全年齢で上位を占めた。加えて、子どもの年齢が高くなるほど、「資産形成」や「税金」、「金融トラブル」といった、より実践的で専門的な知識へのニーズが高まる傾向が見られた。
ソニー銀行株式会社のプレスリリースより
「何を教えればよいのかわからない」が約30%
実際に家庭で教えている内容を見ると、「お金の大切さと価値」、「お金の管理方法」、「貯蓄」については、学んでほしいと回答した割合と同等または上回る結果となった。しかし、「資産形成」や「税金」、「金融トラブル」については、学んでほしいと回答した割合より下回り、特に「資産形成」と「金融トラブル」を教えている割合は、学んでほしいと回答した割合の約半数に留まった。この結果は、これらの内容を家庭で教えることの難しさを示唆している。
その背景として、家庭で金融教育をしていない理由の第一位に「何を教えればよいのかわからない」(29%)が挙げられ、次いで「教えるための情報や教材がない」(25%)が続いた。金融教育の重要性を認識しつつも、具体的な指導内容や方法に悩む保護者の姿が浮かび上がる。
ソニー銀行株式会社のプレスリリースより
今回の調査結果により、2022年度から高等学校で金融教育が必修化されたことを受け、学校教育と連携しながら家庭で金融リテラシーを育むことの重要性と、その実践における課題が改めて明確化された。