岸田首相が所信表明、人への投資・リスキリングへの公的支援を拡充

岸田文雄総理大臣は、10月3日召集された臨時国会で所信表明演説を行った。その中で、リスキリングや成長分野に移動するための学び直しへの支援、年功制の職能給から日本に合った職務給への移行など、企業間・産業間での労働移動円滑化に向けた指針を、来年6月までに取りまとめることを発表した。

特に、個人のリスキリングに対する公的支援については、人への投資策を「5年間で1兆円」のパッケージに拡充。あわせて、同一労働同一賃金の遵守を一層徹底していく。新しい働き方に対応するため、個人がフリーランスとして安定的に働ける環境を整備するべく、法整備にも取り組む。

また、「成長のための投資と改革」として、「科学技術・イノベーション」「スタートアップ」「GX(グリーン・トランスフォーメーション)」「DX」の4分野に重点を置き、官民の投資を加速させる。「科学技術・イノベーション」については、文理の枠を超えて行う成長分野への大学等の学部再編促進や、若手研究者の育成に向けた支援強化、処遇見直しを通じた教職員の質の向上にも取り組む。「スタートアップ」については、若く優れたIT分野の才能の発掘・育成、日本と海外のスタートアップ・エコシステムの接続など、スタートアップ人材への投資も進める。

今回の所信表明では、改めて人への投資に力を入れていくことが示されたが、文部科学省が今年8月に発表した令和5年度予算概算要求において、「リカレント教育等社会人の学び直しの総合的な充実」は、前年度予算額96億円から127億円に要求・要望額を増額。同取組の下、「成長分野における即戦力人材輩出に向けたリカレント教育推進事業」(1,422百万円)、「専門職業人材の最新技能アップデートのための専修学校リカレント教育推進事業」(404百万円)、「成長分野における大学院教育のリカレント機能強化事業」(660百万円)の3つの予算事業が新たに計画されている。

さらに、文科省の令和5年度概算要求では「成長分野をけん引する大学・高専の機能強化に向けた継続的支援策の創設」として100億円が新規に盛り込まれた。国を挙げて、リスキリングや成長のための投資を推し進める方向性が打ち出されている。

22.10.4news1

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