若手が躍動する老舗酒造 組織・人材改革で挑戦を生み出す

創業90年超の伝統を誇る和歌山県海南市の平和酒造が、新機軸の酒造りで注目を集めている。確かな品質はもちろん、若い蔵人が活躍しているとあって、毎年900名近い新卒応募者が殺到する。4代目代表取締役社長として同社を率いる山本典正氏に、人の生かし方、商品開発の秘訣を聞いた。

地元産品を生かしたブランド開発
日本橋兜町から酒文化を発信

山本 典正

山本 典正

平和酒造株式会社 代表取締役社長
1978年生まれ、和歌山県出身。東京のベンチャー企業を経て、2004年に平和酒造へ入社。廉価な大量消費のためのお酒ではなく、日々の人生に豊かな彩りを添えられるお酒を届けたいとの想いから「紀土」「鶴梅」を立ち上げ。近年ではクラフトビール「平和クラフト」の発売も開始。また、酒造業界に新風を吹かせるべく、若い醸造家の育成にも注力。伝統と革新をもって酒造りを行う一方、日本酒の魅力を伝える活動を行っている。2019年4月より現職。

去る2023年4月8~9日、東京・渋谷のカルチャースポット「MIYASHITA PARK」で、全国各地の地酒やクラフトサケ、発酵食品などの料理とのペアリングを楽しめる「SAKE PARK」が開催された。日本酒の魅力を改めて発信し、日本のSAKE文化を世界へ広めようと催された同イベントを主催したのが平和酒造だ。

1928(昭和3)年に創業した平和酒造は、第二次世界大戦中に強いられた酒造休業を経た後、長らく大手酒造メーカーの「桶売り蔵」を事業の柱としていた。山本氏が2004年に4代目として家業を継いだとき、手始めに着手したのが高付加価値の自社ブランドの開発だった。

模索を重ねた結果たどり着いたのが梅酒だ。和歌山は国産の梅の半分以上を生産する一大産地。梅酒は海外でも人気が高いが、…

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