多世代が語り合う、美術館・図書館・公民館での哲学対話

哲学対話は日常の会話ではなかなか触れることのない普遍的なテーマを話し合うことのできる貴重な機会だ。そして大人や子どもといった年齢や立場を越えた対話ができる点も魅力のひとつだ。今回は美術館や図書館など、公共の場を活用した哲学対話を紹介する。

河野 哲也

河野 哲也

立教大学文学部・教授、博士(哲学)慶応義塾大学
日本学術会議連携会員、日本哲学会など多くの学会の理事や委員を務める。専門は、現代哲学と倫理学。近年は環境の問題を扱った哲学を展開している。また、教育の問題にも関心を持ち、対話によって思考とコミュニケーション力を養う教育を、幼稚園・保育園児から高校生を対象として、多くの学校や図書館などで実践している。

今回は、美術館や図書館、公民館といった公共の場所での哲学対話の実践を紹介します。哲学対話は普段はなかなか話せないような一般的なテーマについて、胸襟を開いて話し合う活動ですが、関心のあるテーマについて語り合うことで、初対面の人たちとでも深い関係を築くことができます。

美術館での哲学対話

以前に触れましたが、美術館での哲学対話は、とても意義深い活動になり得ます。私がこれまで実践してきたのは、美術館で作品を鑑賞した後に(屋外の彫刻やインスタレーションのような作品のこともあります)、美術館内の部屋を借りて、それらの作品を入り口としてさまざまなテーマについて話し合う美術の哲学対話です。美術館内で対話をするときには、…

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