問いを出し、皆で参加し、語り合う 哲学対話のやり方と心構え
今回は哲学対話の実践に入る前に、対話の進め方と参加者が心がけておきたい留意点に触れる。重要な点はよい「問い」を作り出し、話す側・聞く側の双方で対話の「場」をつくっていくという意識をもつこと。ここを起点に問いの探究がはじまる。
哲学対話は、「子どもの哲学」や哲学カフェ、企業内の対話、地域創生の対話など、さまざまな場所と機会で実施されます。それらでは参加者も目的も異なっていますが、やり方と心構えには共通の部分があります。
「問い出し」の大切さ
河野 哲也
哲学対話はさまざまな目的で実施されます。哲学カフェは、哲学的なテーマについての対話を楽しむことを目的としています。子どもの哲学は、思考力や対話力を向上するといった教育的な目的があります。企業内の対話は、仕事の根本的意義やポリシーについて話し合うためにあります。地方創生の哲学対話では、地域の課題を掘り下げて、住民同士が共通理解を得ることにあります。
しかしそのどの場合でも、「真理の追求」という目的がその根本にあります。哲学対話はしばしば「正解のない問いを追求する」ものだと言われますが、「正解がない」のではなく、…
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