自分という核を見つめ、作り上げるための哲学対話 大学での実践

受け身で講義を聞くだけという一昔前とは大きく変わっている大学教育。その学びをより意義あるものにするためには「自分」という核をもって知識を身につける必要がある。学ぶ姿勢や動機づけ、またキャリア教育の観点でも哲学対話を役立てることができる。

学ぶ動機と教養

河野 哲也

河野 哲也

立教大学文学部・教授、博士(哲学)慶応義塾大学
日本学術会議連携会員、日本哲学会など多くの学会の理事や委員を務める。専門は、現代哲学と倫理学。近年は環境の問題を扱った哲学を展開している。また、教育の問題にも関心を持ち、対話によって思考とコミュニケーション力を養う教育を、幼稚園・保育園児から高校生を対象として、多くの学校や図書館などで実践している。

今回は、大学での哲学対話の役立て方をご紹介します。

日本の大学は変わりつつあります。私が大学生であった時代にはなかったさまざまな活動が導入されています。副専攻、交換留学、サービスラーニング、国内外のフィールドワーク、インターンやキャリア教育、地域連携プログラムなど、私の学生時代にあって欲しかったな、と思うものばかりです。

しかし残念に思うのは、こうした大学ならではの活動をうまく活かす学生がいる一方で、貴重な機会を逃してしまう学生も少なくないことです。この違いは、その学生がどのような広がりのある世界の中で、自分の存在を捉えているかに関わります。家族と似たもの同士の友人しか知らないならば、また、大学での学びが世界の何と結びついているかを…

(※全文:304文字 画像:あり)

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