「対話」と「会話」の違いを知る 対話こそ、民主的社会の基盤

本連載のテーマである「対話」とは、具体的にどのようなものだろうか。筆者は、対話とは双方向のコミュニケーションを通じて互いに自己変容が起こることだという。学校で、職場で、果たして「対話」は行われているのだろうか。

河野 哲也

河野 哲也

立教大学文学部・教授、博士(哲学)慶応義塾大学
日本学術会議連携会員、日本哲学会など多くの学会の理事や委員を務める。専門は、現代哲学と倫理学。近年は環境の問題を扱った哲学を展開している。また、教育の問題にも関心を持ち、対話によって思考とコミュニケーション力を養う教育を、幼稚園・保育園児から高校生を対象として、多くの学校や図書館などで実践している。

前回は、「哲学対話」、特に「子どもの哲学」という活動の全国的・全世界的な広がりについて説明しました。今回は、「対話(ダイアローグ)」という言葉に注目して、対話とはどのようなコミュニケーションなのかについて考えていきたいと思います。

会話と対話

「対話」は、会話の一種です。でもそれはどんな会話なのでしょうか。どういう会話のことを、私たちは「対話」と呼ぶでしょうか。

私たちは、通常の生活では、ほとんど一日中、会話をしています。会話には多くの種類があり、目的もさまざまです。例えば、駅の売店でお弁当を購入するときのやり取りは一種の商談ですが、…

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