寄稿・安藤優子氏が振り返る、12年の院生生活

稼ぐ力や企業価値の長期的かつ持続可能な向上、サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)の実現に向けては、人的資本など非財務情報の実質的な開示が重要だ。政府は昨年8月に「人的資本可視化指針」を公表したほか、経産省はサステナビリティ経営の議論を進めている。

報道の場で「点と点をむすぶ」
知の必要性に迫られる

安藤 優子

安藤 優子

東京都立日比谷高校からアメリカ・ミシガン州ハートランド高校に留学。同校卒業。上智大学外国語学部比較文化学科卒(現 国際教養学部)。上智大学大学院グローバル・スタディーズ研究科 グローバル社会専攻 修士課程修了(2005年4月~2008年3月)。社会学修士号取得。東京大学大学院人文社会系研究科 客員准教授(2009年4月~9月)。上智大学大学院グローバル・スタディーズ研究科 グローバル社会専攻 博士課程後期・満期退学(2013年9月)。グローバル社会学博士号取得(2019年9月)。
数々の報道番組で国内外の取材レポートを担当し、1986年5月には「ニュースステーション」のフィリピン報道でギャラクシー賞個人奨励賞を受賞。1987年から連日のニュース番組生放送でキャスターとして取材、放送を手掛けてきた。
学位論文タイトルは「国会における女性過小代表の分析-自民党の政治指向と女性認識の形成」。

今一度学び直す、そのことへの渇望の念のようなものが沸きあがってきたのは、何か特定の出来事がきっかけではない。最初は男性司会者の横に座る「アシスタント」として学生アルバイトで足を踏み入れたテレビメディアのニュース。右を向いても左を向いてもベテランのオジサマ記者がかっ歩し、大声で議論を重ねる未知なる世界。言われるがままに、アシスタントとして相づちをうち、にっこり笑ってうなづき、「続いてはコマーシャルです」と、ひと言。それがいつしか、取材を任され、インタビューをし、紛争地や戦争へ行き、災害でも事故でも現場に飛んでいくようになって、無我夢中で仕事に向きあって来た日々の流れのなかで、自分の発する言葉への疑問が常に頭にあって、モヤモヤしていた。もっと率直な言葉にすれば、「自分が今目の当たりにしている事象をどこまで理解して言葉を発しているのか」ということにてんで自信が持てなかったのである。

(※全文:2325文字 画像:あり)

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