政府施政方針演説、「人への投資」を抜本的に強化

1月17日、第208回通常国会が開会し、岸田文雄首相が施政方針演説を行った。

成長戦略に関しては、デジタルを活用した地方の活性化を第一の柱として掲げ、新しい資本主義の主役は地方であるとし、「デジタル田園都市国家構想」(参考記事)を強力に推進していくとした。

高齢化・過疎化に直面する地方でこそ、オンライン診療やGIAGスクール、スマート農林水産業などのデジタルサービスが活用できることが重要だとして、インフラ整備や、規制・制度見直しを進め、デジタルサービスの実装を一体的に動かしていくと決意を述べた。

続いて、分配戦略として挙げられたのが、「人への投資」(参考記事)の抜本強化。

岸田首相は、モノからコトへと資本の移動が進む時代の付加価値の源泉は、創意工夫や新たなアイデアを生み出す「人的資本」であるものの、わが国の人への投資は、他国の後塵を拝していると現状への危機感を示したうえで、今後、官民の人への投資を少なくとも倍増させていくことで企業の持続的価値創造と賃上げを両立させるとした。

また、その鍵となるのがスキル向上、再教育の充実、副業の活用といった人的投資の充実であり、こうした取り組みがデジタル社会や炭素中立社会への移行を円滑に進めるとした。

これを実現するため、世界や産業界、地域が必要とする人材像やスキルについて、現場の声をもとに明確化し、公的職業訓練のあり方をゼロベースで見直すことにも言及した。

また、人的投資が企業の持続的な価値創造の基盤であるという点について株主と共通の理解を形成するため、今年中に非財務情報の開示ルールを策定し、四半期開示の見直しも行うことにも触れた。

22.1.19news1