新潟工科大学が2026年度入試から入学金返還へ 受験生の負担軽減で大学の「標準」変わるか

新潟工科大学は、2026年度の入学者選抜から、入学を辞退した学生に対して入学金、前期授業料、後援会費を返還すると発表した。これまで多くの大学で不返還が慣例だった入学金を返還対象に含めるという異例の対応であり、少子化が進む中での大学の学生募集における新たなスタンダードとなるか、注目が集まる。

新潟工科大学の公式ホームページより

今回の変更により、同大学の総合型選抜(公募型)、学校推薦型選抜(公募制)、学校推薦型選抜(指定校制)A日程(国公立大学に合格した場合のみ)、一般選抜、大学共通テスト利用選抜の合格者が、所定の手続きを完了した後、2026年3月31日までに文書で入学辞退を申し出た場合、入学金、前期授業料、後援会費が返還されることになる。ただし、事務手数料と振込手数料が差し引かれる。なお、専願入試区分の合格者は入学を辞退できない。

これまで、国公立大学や他の私立大学を第一志望とする受験生は、合格発表時期の違いから、いわゆる「滑り止め」として入学金を納付した後、本命の大学に合格した際に入学金を放棄せざるを得ないケースが多く、家庭の経済的負担が課題となっていた。

今回の新潟工科大学の決定は、こうした受験生の不利益を解消する「受験生ファースト」の姿勢を明確に打ち出したものと言える。18歳人口の減少が続き、大学間の競争が激化する中で、こうした受験生に寄り添う姿勢が、大学の魅力向上と優秀な学生の確保に繋がるという経営判断があったとみられる。

この動きが他の私立大学にも波及し、長年の慣行だった「入学金の不返還」が見直されるきっかけとなるか、今後の大学業界の動向が注視される。