【6月22日松本洋平文部科学大臣会見詳報】「AI for Science先進国の地位築く」

松本洋平文部科学大臣は2026年6月22日の定例記者会見で、AIを活用した科学研究支援事業の第1回採択結果、東京都北区の小学校で発生した火災への対応方針、金利上昇に伴う奨学金返済負担に関する見解をそれぞれ示した。

「SPReAD」に1.5万件超の応募、採択456件

文部科学省は、あらゆる分野でAIを活用して科学研究の高度化・加速化を図る「AI for Scienceによる科学研究革新プログラム AI for Science萌芽的挑戦研究創出事業(SPReAD)」について、第1回公募の採択課題456件を決定したと発表した。同事業は令和7年度補正予算により実施されており、2回の公募を通じて計1,000件程度の採択を目指している。

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第1回公募には1万5,000件を超える応募が集まり、採択倍率は約35倍に達した。採択課題は人文学・社会科学から自然科学まで幅広い分野にわたり、学生による課題61件も含まれている。松本大臣は「大変多くの方に応募していただき嬉しく思う」と述べる一方、倍率の高さに触れ、より多くの研究者が採択されるよう拡充を検討していく考えを示した。

なお、審査過程では無作為抽出やAI活用など機動的かつ挑戦的な手法を導入しており、基礎研究振興部会での指摘も踏まえて今後の改善に努める方針も明らかにした。第2回公募の締め切りは7月3日正午で、松本大臣は「AI for Science先進国の地位を築くことを目指していく」と語り、同事業とトップ研究の引き上げを両輪として推進する姿勢を打ち出した。

北区小学校火災、原因究明待たず全国に点検要請へ

2026年6月19日午前11時ごろ、東京都北区立滝野川第三小学校(児童数約340人)の4階音楽準備室から出火した火災について、松本大臣は「負傷された児童および教員の方々に心からお見舞いを申し上げるとともに、早期のご回復をお祈りしたい」と述べた。

この火災では教職員の誘導により児童全員の避難が確認された一方、児童8人と教職員3人の計11人が病院に搬送された。このうち男子児童2人と女性教諭1人が骨折し、残る8人は煙を吸うなどの軽傷だった。北区教育委員会の会見によれば、これまで毎月実施していた避難訓練は給食室や家庭科室など出火の可能性が高い場所を対象としており、今回の出火場所である音楽準備室を想定した訓練は行っていなかった。音楽室・音楽準備室にスプリンクラーは設置されていなかったことも判明している。

火災原因は現在も警視庁と東京消防庁が調査を進めている段階であり、松本大臣は「捜査結果を待つことなく、判明した事象をもとに速やかに対応していく」との方針を強調した。具体的には、防火設備や電気機器の安全管理の徹底、避難訓練の実施といった学校の安全管理体制の点検を全国の教育委員会に速やかに求めていく考えを示した。通知の方法や内容・時期については検討中としながらも、「スピード感が大事だ。学校での授業は続いている」と述べ、早急な対応を進める姿勢を明確にした。

スプリンクラーの設置基準については国土交通省など関係省庁との連携が必要な問題と位置づけており、消防機関の調査結果も踏まえて検討を進める方針を示した。

奨学金返済負担の増加、「不断の見直し」進める方針

有利子奨学金の返済利率が金利上昇に伴い高まっていることについて、松本大臣は「返済負担が増しているという声は国会でも指摘を受けており、承知している」と述べた。

独立行政法人日本学生支援機構が運営する第二種奨学金(有利子)の返済利率は、入学時ではなく貸与終了時の財政融資資金の借入れ利率に基づいて決定される仕組みとなっている。松本大臣はこの制度の趣旨について、借入れ期間が長くなるほど金利が高くなる性質を踏まえ、在学中に必要な資金を短期・低利の借入れで調達することで利用者の利子負担を軽減する狙いがあると説明した。仮に入学時に利率を固定する場合、貸与終了時の金利との差が生じ、金利が下がれば財政融資資金の償還に必要な額を超えた利息を回収する形になり、逆に金利が上がれば奨学金事業の継続が困難になるリスクもあるとの認識を示した。

同省はすでに在学中は無利子とする措置や、返済利率の上限を年3%に設定して超過分を原則国が負担する仕組みのほか、企業による代理返還の促進、給付型奨学金の拡充といった対策に取り組んでいる。松本大臣は「様々な声に耳を傾けながら、奨学金にかかる負担をできる限り減らしていく。不断の見直しを進めていく」と語った。


文部科学省科学技術・学術審議会基礎研究振興部会のAI for Sciencに関する議論はこちらです。【議事録詳報・前編】AI for Science始動 1万5千件超の応募が示す研究現場の熱量