スペースデータ JAXA協力のバーチャルISSを教育機関へ本格提供開始

宇宙とデジタル技術の融合で新産業創造を目指すスタートアップのスペースデータ(東京都港区)は2026年3月10日、JAXAの協力のもとで開発した「バーチャル国際宇宙ステーション(ISS)」の教育機関向け提供を本格的に開始したと発表した。

同システムは、ISSの日本実験棟「きぼう」を超高精細3Dモデリング技術で実寸大に再現したインタラクティブな教育コンテンツ。学生が宇宙飛行士の視点でISS船内を自由に探索できるほか、宇宙空間への移動も体験できる。開発には最新のゲームエンジン技術(Unreal Engine)が活用されており、特別な機材や費用をかけずに世界中の教育現場で利用できる点が特長だ。

開発の背景には、従来の宇宙教育が教科書や動画といった2次元コンテンツに頼らざるを得ず、宇宙空間の広がりや微小重力環境を直感的に理解することが難しかったという課題がある。スペースデータは「誰もが宇宙を体験できる環境」の実現を目指し、同ツールの開発に取り組んだ。

教育現場での導入は2025年末から始まっており、九州工業大学および北九州市立高等学校で試験導入を実施。北九州市立高等学校では情報ビジネス科3年生120名を対象に授業を行い、生徒らが時間いっぱいまで積極的に探索する姿が見られたという。担当教員からも「生徒の興味関心を大きく引き出す効果があった」と好評を得ている。

スペースデータは、今後はさらなる教育機関への展開に加え、宇宙関連エンタメや同社が運営する未来人材育成コミュニティ「シンギュラボ」との連携を通じて、宇宙教育を多面的に推進していく方針。民間人の宇宙旅行が現実味を帯びる中、バーチャルISSは事前訓練や疑似体験コンテンツとしての活用も期待されている。