鎌倉市、教育改革を加速する専門人材「教育行政職」を公募開始 エン・ジャパンと連携

神奈川県鎌倉市は2025年9月15日、エン・ジャパン株式会社(本社:東京都新宿区)が手掛ける「ソーシャルインパクト採用プロジェクト」を開始し、9月16日より教育委員会の専任ポジションである「教育行政職」の応募受付を開始した。学校現場と行政の架け橋となり、市の教育改革をさらに推進するプロフェッショナル人材を複数名募集する。

背景に独自の教育改革とトップのリーダーシップ

鎌倉市では近年、教育を取り巻く環境の変化に対応すべく、教育の在り方を問い直す改革を積極的に進めてきた。2025年には新たな「教育大綱」を策定し、「"炭火"のごとく誰もが学びの火を灯し続け、生涯にわたり心豊かに生きられるまち鎌倉」というビジョンを掲げている。

この改革を牽引するのが、文部科学省や外資系コンサルティングファームでの勤務経験を持つ高橋洋平教育長(43歳)だ。高橋教育長は就任後、市職員がジョブローテーションの一環で教育委員会業務を担う従来の仕組みを見直し、教育行政に専念する専門職として、全国でも先駆的な「教育行政職」を創設。これまでも民間からの人材登用を積極的に行い、組織体制の変革を進めてきた。

今回の公募は、これまでの改革の動きをさらに加速させることが目的だ。

「教育行政職」のミッションとは

採用される「教育行政職」のミッションは、教育委員会の一員として「学校と行政の懸け橋」となることだ。市内小中学校の教育現場が抱える課題やニーズを的確に把握し、様々な企業、大学、NPO法人など外部の力も活用しながら、実効性のある教育施策を立案・実行する役割が期待されている。また、書類作成や行政手続き、システム運用といった行政事務の面から学校運営を支えることも重要な業務となる。

鎌倉市が進める教育改革の具体例

これまでも市は、先進的な取り組みを次々と実行してきた。県による採用とは別に市独自の条例を制定し、同等の給与・処遇を保証する形で全国から教員を公募したほか、不登校の生徒に配慮した特別な教育課程を持つ「学びの多様化学校」として「鎌倉市立由比ガ浜中学校」を2025年4月に開校。さらに、ふるさと納税を財源とする「鎌倉スクールコラボファンド」を立ち上げ、社会課題解決型のプロジェクト学習やプログラミング学習などを外部の専門家と連携して実現している。

高橋教育長「伴走する教育委員会で、学習者中心の学びを」

高橋教育長は今回の公募に際し、次のようにコメントしている。 「鎌倉市教育委員会ではビジョンを『"炭火"のごとく誰もが学びの火を灯し続け、生涯にわたり心豊かに生きられるまち鎌倉』とし、コンセプトを『学習者中心の学び』としています。我々は主役である学習者を支え、助け、励ます『伴走する教育委員会』を行動様式としています。教育行政職の皆さんには、教育と行政それぞれに立脚し、力を発揮していただきたい。鎌倉から『学習者中心の学び』を展開しようではありませんか。いざ鎌倉へ!」

エン・ジャパン株式会社のプレスリリースより

エン・ジャパン株式会社が運営する『AMBI』および『エン転職』の各サイトで応募を受け付ける。受付期間は2025年9月16日(火)から10月14日(火)まで。なお、同社では『ミドルの転職』も含めた複数の求人サイトを活用し、幅広いターゲットへの訴求を支援している。

今回の取り組みは、自治体が主体的に教育改革を推進する上で、外部の専門人材をいかに登用し、組織を活性化させていくかという観点から、全国の教育関係者にとって注目すべき事例となりそうだ。