「恩送り」で新しい林業 山を活かし、山に活かされる人づくり

「人を活かす山を創る」を理念に、山を活かし、山に活かされる人づくりを行う智頭ノ森ノ学ビ舎。地元の若手林業家と町外からの移住者を中心に、事業体を超えた林業家のコミュニティを形成する。代表を務める大谷訓大氏に、主な取り組みと手応え、山への思いや今後のビジョンを聞いた。

森林面積が93%を占める智頭町
60haの町有林で林業研修を開始

大谷 訓大

大谷 訓大

株式会社皐月屋 代表/智頭ノ森ノ学ビ舎 代表
林業家。基幹産業である林業を守る一人で、自伐型林業を行う株式会社「皐月屋」の代表。「100年後に残せる森」を心がけて、丁寧な山仕事を志す。10代~20代はヒップホップに陶酔し、米国へ。「レペゼン智頭林業」の精神で地元を盛り上げる。1982年生まれ。3人の子供の父親。

──「智頭ノ森ノ学ビ舎」設立の背景や経緯、問題意識をお聞かせください。

千代川という一級河川の源流にあたる智頭町は、森林面積が93%を占める林業の町です。そのうち78%が人工林です。かつて、1950年頃には700人いた林業就業者数は減少の一途をたどり、2005年の資料では78人になっています。最近は移住して林業に携わる人が少しずつ増えていますが、それでも往時に比べれば10分の1近くに落ち込んでいます。当然ながら、山の面積は変わらないのに、です。そもそも人口自体も減っていて、1955年には1万1,500人近くいましたが今では6,200人。高齢化率も43%とかなり高いです。

そうした智頭町で生まれ育った私は、…

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