鳥取大学長 知と実践を融合し、世界と地域に貢献する人材を育成

知識を深め理論を身につけるだけでなく、地域の課題から宇宙規模の未来まで、具体的な「実学」の実践を重視する鳥取大学。基本理念として掲げる「知と実践の融合」に向け、教育研究の強化や国際貢献および地域連携の展開について、2019年から同大を牽引する中島廣光学長に聞いた。

地域特性を生かした乾燥地研究
国内外の各地に大きな貢献

中島 廣光

中島 廣光

鳥取大学長
1953年東京都台東区に生まれる。1981年東京大学大学院博士課程修了、同年鳥取大学農学部助手、その後、助教授、教授。その間、米国ミシガン州立大学、コーネル大学に留学。2005年農学部副学部長、2007年農学部長、2013年理事・副学長(教育、国際交流担当)、2019年より現職。専門は天然物化学、微生物化学。

──「知と実践の融合」という基本理念のもと、どういった教育研究に力を注いでいますか。

本学が位置する鳥取県は鳥取砂丘でよく知られています。鳥取砂丘は貴重な観光資源である一方、砂地が多いという地域特性のために、かつての人々はさまざまな苦労を強いられた側面もあります。江戸時代には風に運ばれた砂が街道を埋めて旅人の通行を邪魔し、砂が田畑に飛べば農業に被害が出る。砂の害に悩み、試行錯誤を重ねてきた歴史があります。

本学では前身である鳥取高等農業学校の頃から、科学的知識を総動員して砂防林のつくり方を研究してきました。そのおかげで、鳥取で砂の害を防ぐことに成功し、その技術が全国に広がっていきました。砂の害を防げるようになった後は、…

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