経産省が「イノベーション循環」への提言、担い手人材の支援を強化

経済産業省の産業構造審議会 産業技術環境分科会 研究開発・イノベーション小委員会では、日本の課題解決と持続的発展を実現するためには、新たな価値を生み、次の産業を創る「イノベーション循環」が必要であるとの視点に立って議論を行い、提言として 「イノベーション循環を推進する政策の方向性」を取りまとめた。

提言では、(1)イノベーションの担い手として「スタートアップ・ファースト!」や「人材の多様性を高める」こと、(2)イノベーションのプロセスとして「挑戦と失敗を増やす」ことや「市場の創造を集中支援」すること、さらには(3)社会課題を解決する「ミッション志向型への政策転換」やデジタルイノベーションを支える「計算基盤・汎用技術の強化」を今後の政策の重点と位置付けた。

「スタートアップ・ファースト!」については、イノベーション循環の担い手であるスタートアップのエコシステムを形成するため、ディープテック・スタートアップの支援を研究開発期から事業開発・成長期にまで拡大し、成功事例を創出。また、事業会社からのカーブアウトに向けた研究開発や事業化を後押しする。

「イノベーション・プロセスの課題」として、多様な人材が力を発揮できるよう、研究者と企業とのマッチングや博士人材の支援を行う。また、研究開発から生じるアウトカム(収益)に優遇税率を適用する「イノベーションボックス制度」を検討する。

「挑戦と失敗を増やす」については、失敗を恐れず野心的な目標への挑戦を促すため、ムーンショット型研究開発事業等において「失敗」を積極評価する新たな仕組みやKPI導入などを行う。提言の詳細については、下記を参照。

イノベーション循環を推進する政策の方向性の概要 

イノベーション循環を推進する政策の方向性

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出典:経済産業省・資料