政府「GX実現に向けた基本方針」を閣議決定、関連人材を育成へ

2022年2月のロシアによるウクライナ侵略以降、エネルギー安定供給の確保が世界的に大きな課題となる中、GX(グリーントランスフォーメーション)を通じて脱炭素、エネルギー安定供給、経済成長の3つを同時に実現するべく、政府のGX実行会議や各省における審議会等での議論を踏まえ、昨年末に「GX実現に向けた基本方針」を取りまとめた。同基本方針について、パブリックコメント等を経て、2月10日に閣議決定を行った。

「GX実現に向けた基本方針」では、気候変動問題への対応に加え、国民生活及び経済活動の基盤となるエネルギー安定供給を確保するとともに、経済成長を同時に実現するため、主に以下2点の取組を進める。

・エネルギー安定供給の確保に向け、徹底した省エネに加え、再エネや原子力などのエネルギー自給率の向上に資する脱炭素電源への転換などGXに向けた脱炭素の取組を進めること。

・GXの実現に向け、「GX経済移行債」等を活用した大胆な先行投資支援、カーボンプライシングによるGX投資先行インセンティブ、新たな金融手法の活用などを含む「成長志向型カーボンプライシング構想」の実現・実行を行うこと。

今後10年間で官民150兆円超のGX投資を実現するためには、民間金融機関や機関投資家等による積極的なファイナンスが必要となる。2021年6月のコーポレートガバナンス・コード改訂により、プライム市場上場企業にはTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)開示等が求められ、日本のTCFD賛同社数は世界一となっている。他方、開示の内容面は発展途上であり、企業自らの経営戦略に即した実践的な開示を促進することが重要となる。このために、TCFDコンソーシアムを通じた人材育成プログラムの提供など、更なる開示支援を行う。

また、社会全体のGXの推進に向けて、産業ごとの実態も踏まえつつ、大学等での人材育成等を含め国として必要な支援を行う。中堅・中小企業のGX推進については、中小企業等の取組をサポートする支援機関等の人材育成や支援体制の強化を打ち出している。

23.2.10news1

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