多様化する働き方・働く場 オフィス環境と創造性の関係を探る
コロナ禍を経て多様性を増す働き方と働く場所。オフィス環境はクリエイティビティにどのような影響を与えるのか。東京大学の稲水伸行准教授と組織のDXを支援するディスカバリーズ、オフィス空間等のトータルサービスを提供するオカムラの3者による研究について聞いた。
オフライン・オンラインの
行動データから創造性を分析
稲水 伸行
牧島 満
島田 祐一朗
2022年9月、東京大学大学院経済学研究科の稲水研究室とディスカバリーズ、オカムラの3者は、ハイブリッド・ワーク下の働き方に焦点を当てた共同研究について、論文『時間展望とクリエイティビティ:細かい時間単位の行動データを用いたハイブリッド・ワークの分析』を、組織学会学術誌・組織科学に共著で発表した。
同論文では、今後のハイブリッド・ワークや組織改革の発展への貢献を目指し、ハイブリッド・ワークにおける環境と時間・クリエイティビティ(創造/革新行動)の関係性について分析。オフィス内での時間と場所の使い方に加え、オンラインでのコミュニケーション情報から、ワーカーの行動を分析・検証した。
今回の研究は、稲水氏とオカムラで進めていた研究に、ディスカバリーズが加わる形で実現した。
稲水氏はもともと経営組織や職場における問題解決を主に研究をしており、クリエイティビティを問題解決の一つの形として位置づけ、オカムラと共同でオフィスを対象にした研究を行ってきた。
「これまでの研究ではアンケート調査を主としてきましたが、実際の行動を計測するにはデータとして粗いこと、主観が入るためバイアスのかかったデータになることが課題で、より客観的なデータを取り分析したいという思いがありました」(稲水氏)
一方、オフィスにおいては近年、仕事内容に合わせて場所を選ぶ働き方・ABW(Activity-Based Working)が注目され始めているが、コロナ禍でテレワークが一気に広まったことで、自宅をはじめとして、社外のさまざまな場所を含めたABWが広がっている。
「共同研究ではこれまでもビーコン(ブルートゥースを用いた位置特定技術)によるオフィス内の行動データを取ってきましたが、オフィス内の物理的な移動だけでなく、オンラインでの行動も併せて取る必要性が高くなりました。そのなかでディスカバリーズが提供する『IntelliReport©』に出会い、3者での共同研究がスタートしました」とオカムラ・ワークデザイン研究所の牧島満氏は話す。
IntelliReport©は、業務アプリの利用状況から従業員の働き方を可視化するクラウドサービス。ディスカバリーズ代表の島田祐一朗氏は「本研究ではMicrosoft Teamsのチャットデータから、誰が誰と、どのくらいの時間、どれくらいの熱量(速さ・頻度等)でやり取りしているかといった情報を分析し、組織におけるコラボレーション、コミュニケーションを数値化するアプローチを取りました」と説明する。
テレワークとオフィスを
バランスよく
同研究は、コロナ禍以降急速に普及した、オフィスとオフィス以外を使い分ける『ハイブリッド・ワーク』をテーマにしている。オフライン・オンラインの両面で、どの場所にどう時間配分し、コミュニケーションツールをどう使えばクリエイティビティの発揮につながるのかを明らかにすることが目的だ。
「経営学の世界でいうクリエイティビティには、『独自性』と『有用性』の2つが揃っていることが必要です」(稲水氏)
(※全文:3028文字 画像:あり)
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