新学習指導要領の改訂者が語る、「生きる力」の意味と教員の役割

学習指導要領では、「生きる力」や「学びに向かう力」など、さまざまな非認知能力の育成が謳われている。ここに込められた思いや教員養成のあり方について、中央教育審議会の教育課程部会長を務め、新学習指導要領の改訂に携わった千葉大学の天笠茂名誉教授に聞いた。

21世紀を見据えて、定義された「生きる力」

天笠 茂

天笠 茂

千葉大学 名誉教授
千葉大学教育学部講師、助教授、教授、特任教授を経て現在。専門分野:学校経営学、カリキュラム・マネジメント。日本教育経営学会理事、日本カリキュラム学会理事。第10期中央教育審議会副会長、同教育課程部会長。主な著書:『新教育課程を創る学校経営戦略 カリキュラム・マネジメントの理論と実践』(ぎょうせい 2020年)

「生きる力」の育成が国の方針として発信されたのは、1996年にさかのぼる。文部省(現・文部科学省)の中央教育審議会の諮問「21世紀を展望した我が国の教育の在り方について」に対する第1次答申の中で、これからの社会の変化に対応していくための資質や能力を包括する言葉として「生きる力」が定義されたのだ。千葉大学名誉教授の天笠茂氏は、こう説明する。

「当時この言葉を聞いた人から、漠然としているという声が挙がりました。そこで、学習指導要領の改訂と重ねながら精査したり構造化したりする過程で、21世紀型学力とか、非認知能力や汎用的能力といった資質・能力を捉えていこうという流れになったように思います。21世紀は世の中が変化するスピードが速いため…

(※全文:2378文字 画像:あり)

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