石破首相、所信表明演説 「103万円の壁」の引き上げを明言
石破茂・内閣総理大臣は11月29日、衆参両院の本会議で所信表明演説を行った。
「外交・安全保障政策」、「日本全体の活力を取り戻す」、「治安・防災」の3つを重要課題と位置づけ、それぞれについて基本方針と施策を語った。
「外交・安全保障政策」については、主張すべきことは主張しつつ各国と対話を重ねるとともに、アメリカをはじめとする同盟国・同志国との連携をさらに深めることで、防衛力を維持・強化していくとした。
「日本全体の活力を取り戻す」については、人口減少が社会不安を生み、それがさらなる人口減少をもたらすという悪循環から脱するため、「地方創生の再起動」、「『賃上げと投資が牽引する成長型経済』への移行」、「全世代型社会保障の構築」の3つに取り組むとした。
コストカットではなく、革新的な商品・サービスを通じた付加価値の創出に力点を置いた経営・経済への転換に向け、AI、量子、バイオ、宇宙、フュージョン、GX関連のイノベーションおよびスタートアップの支援を行う考えを示した。
併せて、2030年度までにAI・半導体分野に10兆円以上の公的支援を行い、10年間で50兆円を超える官民投資を引き出すとした。スキル向上やリ・スキリングなど、人への投資も進めていくと語った。
地方創生については、年内に「基本的な考え方」を取りまとめるとともに、交付金を倍増するとした。また地方創生には「魅力ある働き方・職場づくり」も重要であるとして、非正規人材の正規化の正規化や、フルタイム勤務を前提としない「短時間正社員」の普及、女性の正規雇用率が20代後半で急低下する「L字カーブ」の解消、男性の育児休業の推進に力を入れるとした。
賃上げについては、最低賃金の引き上げを含めて取り組み、物価上昇を上回る賃金上昇を実現するとした。いわゆる「103万円の壁」については、2025年度税制改正の中で議論し、引き上げることを明言した。
併せて、「人づくりこそ国づくり」であるとして、教職員の働き方改革や処遇改善を通じて、公教育の再生を進めると語った。
「治安・防災」については、避難所となる全国の学校体育館の空調整備のペースを加速するなど「事前防災」を進めるとともに、2026年度までに「防災庁」を設置するとした。
これら施策の早期実現に向け、速やかに補正予算を国会に提出すると語った。
演説の全文は以下から読むことができる。
https://www.kantei.go.jp/jp/103/statement/2024/1129shoshinhyomei.html
首相官邸ホームページより