松山東雲女子大学、2028年度より男女共学化へ 「松山東雲大学」に名称変更し小学校教職課程を新設

学校法人松山東雲学園は2025年10月1日、松山東雲女子大学を2028年4月より男女共学に移行し、大学名を「松山東雲大学」(仮称)に変更することを発表した。あわせて、人文科学部心理子ども学科子ども専攻に小学校教諭一種免許状の教職課程を新たに設置する予定。文部科学省における審査の結果により開設時期等は変更となる可能性がある。1886年設立の四国最初の女学校を源流に持つ同学園が、女子教育の伝統を礎としながら、多様化する社会のニーズと教育課題に応えるための大きな一歩を踏み出す。

今回の改革の背景には、急速な少子化や社会情勢の変化がある。大学側は、地方、小規模、女子大学という3つのキーワードが当てはまる大学を取り巻く厳しい現状を率直に認め、将来的な発展を見据えて中期計画を策定。その中核として、今回の共学化と小学校教職課程の新設を決定した。

新たに設置を目指す小学校教諭教職課程は、深刻化する小学校の教員不足、特に愛媛県内の私立大学に本格的な養成課程がなかったという地域課題に応えるものだ。同学がこれまで培ってきた幼児教育における教育・研究力と、社会福祉領域の学びを掛け合わせることで、「福祉マインドを持った教員の養成」を目標としている。これにより、小学校教員を目指して県外へ進学していた高校生の新たな受け皿となることを目指す。

男女共学への移行は、こうした教育ニーズへの対応に加え、予測不能な現代社会を生き抜くために、多様な価値観を持つ人材が共創する教育環境を築くことが不可欠であるとの判断に基づく。同学園の建学の精神であるキリスト教精神を礎とした人格形成と、地域社会への貢献という姿勢を継承しつつ、教育力をさらに発展させる狙いだ。

なお、今回の男女共学化は2028年度以降の大学新入生、ならびに2030年度以降の編入学生が対象となる。松山東雲短期大学、および松山東雲中学・高等学校については、引き続き女子教育を継続し、地域に根差した教育に取り組んでいくとしている。