高専機構、産学官連携で「越境型人財」育成のプランを策定
独立行政法人国立高等専門学校機構(以下「高専機構」)は、過去最高の130名強が参加した「第3回KOSEN次世代教育カンファレンス」を10月31日に開催した。日本電気株式会社、パナソニックエナジー株式会社、ファナック株式会社など業界最前線の企業や業界団体、経済産業省・文部科学省等の官公庁、高専教員が一堂に会し、AI・デジタル時代の様々な課題解決を牽引する“越境型人財”育成に向けた具体的な連携スキームとアクションプランを策定した。
独立行政法人国立高等専門学校機構・プレスリリースより
産業構造が劇的に変化し、分野横断的な課題解決が求められる現在、従来の専門特化型教育では対応できない複雑な社会課題・企業課題に立ち向かう人財育成が急務となっている。高専の強みは15歳からの理論と実践の往復学習だ。高専での5年間の学びで培う「即応性」と「レジリエンス」こそが、業種・分野を横断して活躍する“越境型人財”の基盤となる。
カンファレンスでは、さくらインターネット、経済産業省、高専の3者によるパネルディスカッションでの「高専生の強み」、現場で感じる「個別最適の壁」、「越境型人財とは」についての意見交換を経て、グループワークを通して現場で真に求められる人財像が明確化された。
<企業が注目する高専生の強み>
・課題に向き合う力 - 現場の複雑な問題にひるまない
・失敗を恐れないトライ精神 - 新しい挑戦への意欲
・理解を促進するデザイン力 - 技術を伝える表現力
<越境型人財に必要な3つの力>
・橋渡し力 - 異分野間をつなぐコミュニケーション能力
・ビジョンを創り共有する力 - 目標を描き、チームで共有する
・挑戦し続けるマインド - 困難に立ち向かう持続力や他者からの評価を受け止める
そして、参加者による討議の結果、以下のような具体的な連携プログラムが提案され、実施スケジュールまでが策定された。
<1.即時実行プログラムの例(年内開始)>
・企業による高専教員研修・講座 - 最新技術の教育現場導入
・企業見学・現場体験・インターンシップ - リアルな産業現場での学びや発見
・出前授業 - 企業技術者による学生への直接指導
<2.年度内展開プログラムの例>
・企業技術者クロスアポイントメント - 現役技術者による授業
・実験実習教材やPBLの共同開発 - 産学協働のカリキュラム
・学生を交えたコンテスト・共同研究・共同開発 - 企業の課題解決の協働
・高専見学 – 企業等の高専理解促進
<3.来年度本格展開プログラムの例>
・長期インターンシップ制度 - 実践力を磨く現場配属
・サマースクール - 集中型分野融合教育
・学生参加型共同研究 - 実課題解決プロジェクト
・異分野融合課題解決コンテスト - 競争環境での成長促進
・企業連携に基づくカリキュラム構築 - カリキュラムのアップデート
高専機構では、社会や産業の急速な変化に対応できる人財育成を加速するため、カンファレンスの成果を基に、高専機構は企業との連携をさらに深化させていく考えだ。