福井の高校生、DXハイスクールでAIアプリ開発
東京都渋谷区に本社を置く株式会社エージェント(代表取締役 代表執行役員・四宮浩二氏)は、福井県立科学技術高等学校において、文部科学省が推進する「高等学校DX加速化推進事業(DXハイスクール)」の一環として、生成AIを活用したDX人材育成プログラムを2026年7月に始めた。同社が学校向けにDXハイスクール関連の取り組みを手がけるのは今回が初めてとなる。2027年3月まで複数回にわたって講座を実施し、生徒自身が生成AIを使ってアプリケーションを企画・開発し、最終的には成果発表まで行う実践型のカリキュラムを提供する。
株式会社エージェント公式プレスリリースより。
株式会社エージェントは「社会の『困った』を事業の力で解決する」という考え方を掲げ、7つの社会課題領域で事業を展開している企業である。今回のプログラムは、そのうち地方創生を担当するチームによるもので、都市部と地方の間で生じやすい教育機会の差を縮め、最先端のデジタル技術を学べる場を全国に広げることを狙いとしている。
国が推進するDXハイスクール制度とは
高等学校DX加速化推進事業は、文部科学省が実施する国の支援事業で、通称「DXハイスクール」と呼ばれる。情報や数学を重視した教育を行うとともに、外部の専門人材を活用したり大学と連携したりしながら、ICTを使った探究的で文理を横断する実践的な学びを強化する高校を対象に、必要な環境整備の費用を支援する仕組みだ。生成AIの普及によって、企業では業務やサービス開発にAIを使いこなせる人材への需要が急速に高まっている一方、学校現場では生成AIを体験する段階にとどまりやすく、自ら課題を見つけて解決策を形にする学びの機会には地域差が残る。こうした状況を踏まえ、国はDXハイスクール事業を通じてデジタル教育の底上げを図っている。株式会社エージェントも全国各地でこの事業を支援しており、学校ごとの方針や地域の特性に合わせたプログラムを提供してきた。
「使う」から「創る」学びへの転換
生成AIは今後さらに幅広い業界で使われていくとみられる。ただし重要なのは、AIを操作できるかどうかではなく、どのような課題にAIを役立てるか、AIと協働しながら新たな価値を生み出せるか、そして社会での実装まで見据えられるかという視点だと同社は位置づけている。実社会につながる学びを提供することが、生徒一人ひとりの可能性を広げるとの考えから、今回のプログラムは設計された。
プログラムは2026年7月7日、同校の2年生全員を対象に第一回を実施した。AI時代のキャリア形成に関する講演に続いて、生成AIの基礎知識やビジネスでの活用事例を学び、実際にAIアプリを開発する体験を行った。福井県立科学技術高等学校は、機械や化学、電子電気、情報工学といった専門学科を置く県立の工業系高校で、実践的なものづくり教育に力を入れてきた。終了後のアンケートでは5点満点中4.2点の満足度を記録し、「生成AIをより深く学びたい」「将来の仕事に役立つ内容だった」といった声が生徒から寄せられたという。