国の「日本型教育の海外展開応援プロジェクト」に3件が採択

文部科学省は1月18日、「日本型教育の海外展開(EDU-Portニッポン)応援プロジェクト」の2023年度第2回公募の選考結果を公表した。

「日本型教育の海外展開」(EDU-Portニッポン)は、高い基礎学力や規律ある生活習慣を育むとして国際的に関心を集めているわが国の教育を海外に輸出すべく、官民協働のプラットフォームを構築する事業。2016年に始まった。文部科学省、経済産業省、外務省、国際協力機構(JICA)、日本貿易振興機構(JETRO)、地方公共団体、教育機関、民間企業、NPOが参加している。

その一環として行われているのが、「日本型教育の海外展開(EDU-Portニッポン)応援プロジェクト」。日本型教育の海外輸出を実際に行う事業を広く募り、採択された事業をプラットフォームを通じて支援している。支援の内容は、日本大使館への協力依頼、現地機関との調整・仲介(推薦レターの発行、現地機関による日本の学校視察受け入れ支援等)、スクールビジット(現地機関による日本の学校視察)の受け入れなど。2021年に始まり、毎年2度公募が実施されている。

2023年度第2回公募は昨年10月に行われた。9件の応募のうち、外部有識者から成る委員会による審査の結果、3件が採択された。採択された事業には、すでに12月から支援が開始されている。

採択された3件は以下の通り。(事業名(実施機関)…概要)

・エジプトでの探究型数学教育事業(カシオ計算機株式会社)…カリキュラム改革に伴い探究型指導の重要性が高まるエジプトにおいて、教育省と協働して探究型指導を疑似体験できる教師研修を企画・実践し、研修を受講した教師による探究型授業の実施を支援する。生徒自身が関数電卓を用いて主体的に学ぶ探求型授業の実現を通して、生徒の数学的思考力の向上を目指す。また、本事業で得られた成果を日本国内の協力関係にある大学に報告し、日本における探究型授業指導法の発展に貢献する。

・バングラデシュでの実践的な数学学習事業(カシオ計算機株式会社)…バングラデシュにおいて2024年に改訂予定の8~9年生対象新カリキュラムでは、「教科理解を深める実践的な学習」が重要視されている。そこで、本事業では日本で既に重要視されている実践的な学習(日常生活を絡めた指導)と、同国で普及している関数電卓を用いた学習方法を合わせた指導パッケージを提供する。パッケージの普及とその活用を通して、生徒が確かな判断力を身につけるとともに、学んだことを社会に応用させてあらゆる課題を自ら解決する能力を育む教育を目指す。また、本事業で得られた成果を日本国内の協業大学に報告し、日本における実践型授業指導法の発展につなげる。

・コロンビア共和国初等教育への日本型音楽教育導入事業(ヤマハ株式会社)…コロンビア文化省と連携し、公立小学校30校の児童に対してリコーダーを使った日本型音楽教育のパイロット授業を実施する。授業内では日本型音楽教育の特色である4分野の1つ「器楽」をメインに用いつつ、歌唱・鑑賞・音楽づくりも併せて実施する。共同や探究を多く取り入れ「主体的・対話的で深い学び」を実践することで海外での日本型教育の認知度向上・国際化に寄与する。また、日本の教育支援サービス企業と協業し、日本型音楽教育が児童のどのような「非認知能力」を育むことができるのかを計測する。これらの活動を通じて、日本型音楽教育の有効性検証・エビデンスの収集と、コロンビア公立学校における教育の質向上を目指す。