コロナ禍と教育:3分の1の国が補習教育を未実施 ユニセフ等調査

ユニセフ(国連児童基金)、国連教育科学文化機関(ユネスコ)、世界銀行、OECDが世界規模で実施した「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による学校閉鎖に対する国の対応に関する調査(Survey on National Education Responses to COVID-19 School Closures)」によると、学校が閉鎖されている、または閉鎖されたことのある国の約3分の1が、COVID-19による学校閉鎖後の補習プログラムを現在も実施していないことがわかった。

低・中所得国の中で、すべての生徒が対面式教育に戻ったと報告した国は3分の1に満たず、学習の損失や中途退学のリスクが高まっている。しかし、大多数の国では、生徒の復学を促すために、コミュニティを巻き込んだり、学校単位での追跡調査を行ったり、水・衛生設備の改善、経済的なインセンティブ、アクセスポリシーの見直しなど、少なくとも1つの対策を行っていると報告している。

今回の調査で得られた主な結果は以下の通りだ。

・学校閉鎖による潜在的な学習損失を軽減するために、さまざまな対策を講じてきた。約40%の国が学年を延長し、また同程度の数の国がカリキュラムに優先順位付けするなどの対応をした。しかし、半数以上の国はそうした調整は行わず、今後も行う予定はないと答えている。

・多くの国が試験会場の安全衛生基準を改善したが、それでも28%の国が中学校の、18%の国が高校の試験を中止した。

・学校へのアクセスポリシーの見直しや改訂は、特に女の子のためにはほとんど行われなかった。低所得国や低中所得国では、10代の女の子が学校に戻れなくなるリスクが最も高いことから、懸念されている。

・低所得国では、学校に戻るための最も基本的な対策の実施が遅れている。例えば、十分な石けん、きれいな水、トイレなどの衛生設備やマスクがあると回答したのは、高所得国の96%に対し、わずか10%以下にとどまっている。

21.7.15news3

Mberra難民キャンプで、休校による退学を防ぐため導入された学習ツールを使い、勉強に取り組む18歳のウサマさん。(モーリタニア、2021年6月撮影)© UNICEF_UN0479645_Pouget