従業員に旧姓使用を許可している企業が6割超 大企業では8割に迫る

株式会社帝国データバンクは3月14日、企業を対象に行った、従業員の旧姓使用に関する調査の結果を発表した。

選択的夫婦別姓が議論される中、職場では改姓によるキャリアの分断などを避けるため、従業員の旧姓使用がすでに広がっている。その実態について調べた。

調査は3月、全国の企業を対象に実施。1,386社から回答を得た。

従業員が結婚前等の旧姓を通称として使用することを認めているか尋ねたところ、「認めている」は63.6%。「認めていない」(9.2%)を大きく上回った。「認めていないが使用について検討中」も6.9%見られた。

大企業(n=197)では、容認・検討中との回答が78.7%に上った。中小企業(n=1,189)では69.2%、そのうち小規模企業(n=470)では64.0%となり、規模の大きい企業ほど旧姓使用が進んでいた(企業規模の定義は中小企業基本法による)。

認めている企業にその理由を尋ねたところ(自由回答)、「取引先に覚えてもらっている旧姓をそのまま使用した方がスムーズ」(不動産)、「名刺やメールアドレスを変更すると本人も会社も面倒」(機械・器具卸売)といった効率を重視した回答のほか、「個人の自由と考える」(専門サービス)、「時代の要請と考えている」(建設)など、自由や多様性を尊重した回答が見られた。

一方、認めていない企業にその理由を尋ねたところ(自由回答)、「給与の振込口座の名義が違うと面倒」(飲食料品・飼料製造)、「申請書類などの誤記が懸念される」(建設)など、旧姓・現姓両方の管理にともなう負担を挙げる回答が見られた。

それでは旧姓使用に負担感はあるのか、全員に尋ねたところ、「ない」が50.7%と半数を超えた。「負担に感じる」(2.6%)、「多少は負担に感じる」(11.0%)を大きく上回った。

負担感がない企業からは、「運用上の見直しで、円滑に進めていける」(鉄鋼・非鉄・鉱業製品卸売)、「人事・労務管理で多少の負担もあるが、世情にあわせシステム的に標準対応されている」(金融)といった意見が聞かれた。

2つの姓の管理にともない負担自体は発生するものの、運用の工夫やシステムの改良などで負担感は少なくなっていることが伺われた。

調査結果の詳細は以下から見ることができる。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001039.000043465.html

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