政府「骨太の方針」原案を公表、「人への投資」でリスキリング支援

政府の経済財政諮問会議は6月7日、「経済財政運営と改革の基本方針2023」(骨太の方針)の原案を公表した。原案では、新しい資本主義の加速に向けて、「人への投資」の強化を打ち出している。

「リ・スキリングによる能力向上支援」として、現在、企業経由が中心となっている在職者への学び直し支援策について、5年以内を目途に、効果を検証しつつ、過半が個人経由での給付が可能となるよう、個人への直接支援を拡充する。その際、教育訓練給付の拡充、教育訓練中の生活を支えるための給付や融資制度の創設について検討する。

また、5年で1兆円の「人への投資」施策パッケージのフォローアップと施策の見直し等を行うほか、雇用調整助成金について、休業よりも教育訓練による雇用調整を選択しやすくなるよう助成率等の見直しを行う。

「個々の企業の実態に応じた職務給の導入」として、職務給(ジョブ型人事)の日本企業の人材確保の上での目的、人材の配置・育成・評価方法、リ・スキリングの方法、賃金制度、労働条件変更と現行法制・判例との関係などについて事例を整理し、個々の企業が制度の導入を行うために参考となるよう、中小・小規模企業の導入事例も含めて、年内に事例集を取りまとめる。

また、「質の高い公教育の再生」等に向けて、教職の魅力向上等を通じ、志ある優れた教師の発掘・確保に取り組む。教師が安心して本務に集中し、志気高く誇りを持ってこどもに向き合うことができるよう、教員勤務実態調査の結果等を踏まえ、働き方改革の更なる加速化、処遇改善、指導・運営体制の充実、育成支援を一体的に進める。

教師の時間外在校等時間の上限を定めている指針の実効性向上に向けた具体的検討、学校運営協議会等も活用した社会全体の理解の醸成や慣習にとらわれない廃止等を含む学校・教師が担う業務の適正化等を推進する。35人学級等についての小学校における多面的な効果検証等を踏まえつつ、中学校を含め、学校の望ましい教育環境や指導体制を構築していく。これらの一連の施策を安定的な財源を確保しつつ、計画的・段階的に進める。

基盤となるGIGAスクール構想について、1人1台端末の更新も見据えつつ、次のフェーズに向けて強力に推進する。ICTの利活用を日常化させ、人と人の触れ合いの重要性や発達段階、個人情報保護や健康管理等に留意しながら、情報活用能力の育成など学びの変革や校務改善につなげるため、運営支援センターの全国的な設置促進・機能強化等により、家庭環境や利活用状況・指導力の格差解消、好事例の創出・展開を本格的に進める。

政府は、与党や省庁間などで調整したうえで、6月中旬に「骨太の方針」を閣議決定することを目指している。「経済財政運営と改革の基本方針2023(仮称)原案」の詳細については、下記を参照。

https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2023/0607/shiryo_01.pdf

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