組織の中から変革を生む人材をいかに増やすか? 丸井Gがイベントを開催

11月17日(木)、東京都中野区の丸井グループ(代表取締役社長:青井 浩)の主催によるイベント「ソーシャル・イントラプレナーフォーラム」が開催された。

「ソーシャル・イントラプレナー」とは、組織に所属しながら社会課題解決に向けて活動する新しい働き方・生き方を実践する人物のこと。

イベントの冒頭では、丸井グループ社外取締役のピーター D.ピーダーセン氏がソーシャル・イントラプレナーの定義について、10年ほど前から注目されてきた「ソーシャル・アントレプレナー(社会起業家)」が組織を飛び出しビジネスで社会課題の解決を目指していることに対し、「ソーシャル・イントラプレナー」は既存の組織の中で社会課題解決に取り組む人であると説明した。

続いて、丸井グループが行った「組織で社会課題解決が進まない課題に関するアンケート調査」の結果が紹介された。これによると、個人においては活動に充てる時間の不足や、思いがあっても実行に移すための知識・スキルがないことが課題として挙げられ、また組織においてはこうした思いをもつ社員を支援する仕組みが不足していることがわかった。

この後、実際にソーシャル・イントラプレナーとして活躍する2名のプレゼンが行われ、富士通株式会社にてろう者に振動と光で音を伝えるデバイス・Ontenna(オンテナ)の開発を行っている本多達也氏と、株式会社商船三井にてブルーカーボン事業を推進する香田和良氏が登壇。それぞれが社会課題解決事業に取り組むことになった経緯とともに、事業として社内で理解を得るためにどのような行動をとったのかなどが紹介された。

両者のプレゼンを受け、青井氏とピーダーセン氏を聞き手としたトークセッションでは、社内で社会課題解決事業を進める際には「経営層に個別に説明に回り理解者を増やしていった」(香田氏)、「製品に対しさまざまなアイデアが寄せられ考えが混乱したときはアイデアの原点であるろう学校に赴き気持ちを整理した」(本多氏)というように、組織の中で革新的な事業を進める立場ゆえの悩みや、その際のマインドセット・対応法などが語られた。

さらに、本イベントに合わせて、イントラプレナーの国際コミュニティ「リーグ・オブ・イントラプレナーズ(LoI)」代表のマギー・デ・プリー氏からビデオメッセージが寄せられ、組織の中や今いる場所から変化を起こすことの重要性を訴えた。

イベントの最後、挨拶に立った丸井グループ代表取締役社長の青井浩氏は、今回のフォーラムを社会課題解決を志す人々がつながる場として中長期的に継続していきたいとするとともに、日本は起業率自体が低い状態にあるが、それだけでなく組織の中から社会を変える人材も増やしていかなくてはいけないと今後に向けた決意を語り、イベントを締めくくった。

22.11.24news1-1

当日のトークセッションの様子。左から、青井氏、本多氏、香田氏、ピーダーセン氏(画像提供:丸井グループ)