都内公立校教職員の2割が過去5年間にカスハラ被害を経験 東京都調べ
東京都は5月9日、都内の公立校の教職員を対象に行った、保護者等、学校外の人物からのハラスメントに関する実態調査の結果(速報値)を発表した。
カスタマーハラスメントが社会的に問題となる中、教職員の被害はどの程度発生しているのか調べた。
調査は4月、都内の公立の小学校、中学校、高校、義務教育学校、中等教育学校、特別支援学校学校の教職員を対象に実施。1万1,044人(うち、小学校7,652人、中学校2,903人、高校316人、特別支援学校148人)から回答を得た。
過去5年間に、学校外の人物から社会通念上、問題のある発言や行為を受けたことがあるか尋ねたところ、「はい」は23%。「いいえ」を大幅に下回りこそしたが、それでも2割を超えた。
「はい」と回答した教職員(n=2,477)に、どのような人からそれを受けたか尋ねたところ、「保護者」が88%で最多。「地域住民」(7%)、「企業・団体等」(4%)を圧倒した。
その発言や行為の具体的内容について尋ねたところ(複数回答可、3つまで)、トップ3は「時間的拘束(長時間の電話等)」(60%)、「暴言(大声、暴言、恫喝等)」(55%)、「過度な要求(言いがかりによる金銭要求等)」(40%)となった。
「暴力(殴る・蹴る等)」(0.6%)こそほとんど見られなかったが、「威嚇・脅迫(物を壊す、殺すといった発言による脅し等)」(19%)は4位に入った。
こうした言動によりどのような影響が生じたか尋ねたところ、「特に支障はない」はわずか3%。「業務が逼迫し時間外労働が増えた」(41%)、「仕事への意欲が低下した」(25%)と、教職員の心身に疲弊をもたらしていることが浮き彫りとなった。「心身に不調が生じた」との回答も20%見られた。
この調査結果を受け、あべ俊子文部科学大臣は5月13日の記者会見で、学校、教師をカスハラから守るべく、保護者からの苦情を教育委員会が直接受けたり、学校関係者が専門家に相談したりできる体制の構築に向け、モデル事業を行っていくとともに、都道府県教育委員会が作成した対応マニュアルの周知を図っていくと述べた。
調査結果の詳細は以下から確認できる(pp. 49-57)。
https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/kyoiku/2025-05-09-094320-938