企業の6割が人材戦略と経営戦略の連動に取り組み 産能大総研調査

産業能率大学総合研究所(東京都世田谷区)は、企業の人事・教育担当者323名を対象に、人材マネジメントに関する実態調査を実施、その結果を公表した。

同調査では、「人」への投資が重要とされる中で、教育費の動向や人材に対する基本的な考え方、リスキリングへの対応など人材マネジメント全般に関する取り組み状況を調べた。

特に人的資本経営実現の要とされる「経営戦略と人材戦略の連動」については、連動状況別に見たときの人材マネジメント活動の影響についても分析している。

調査結果として、教育費の動向については、2020年度と2021年度の比較で売上高、経常利益が「増加した」企業は5割強、教育費が「増加した」企業は3割。同大の昨年度の調査との比較でも4.5ポイント上昇した。

また、人材戦略と経営戦略の連動性については、「人材戦略は、経営戦略と相互に関連づけて同時に策定される」が23.5%、「人材戦略は、経営戦略に従って逐次的に策定される」が35.9%で、両者の合計は59.4%と、約6割の企業が人材戦略と経営戦略の連動に取り組んでいることがわかった。

続いて、人に関する費用の考え方について、人材戦略と経営戦略が連動する群は「戦略的投資」と捉えているのに対し、連動しない群は「コスト」と捉えていることも明らかになった。

人的資本経営においては、経営と人事をつなぐ役割としてCHO(Chief Human Officer、最高人事責任者)が重要なポジションとなるが、CHO、もしくは戦略的に人材マネジメントを推進する担当役員がいるかどうかという質問に対し、全体では「いる」が31.2%、「いない」が68.8%となった。

特に人材戦略と経営戦略を同時に策定している群では6割超の企業がCHOあるいは担当役員を設置していることが明らかになった。

なお、近年人材戦略の中で注目される「リスキリング」について、企業認知度は7割弱、昨年より30ポイント増加したこともわかった。

22.12.15news1

人材戦略と経営戦略の連動状況(学校法人産業能率大学 総合研究所のプレスリリースより)