高専機構、産学官連携の半導体人材育成を始動、九州から全国展開目指す

独立行政法人国立高等専門学校機構(高専機構)が半導体人材育成事業を開始する。

高専機構では、産業界、大学等の教育機関、政府、地方自治体との連携により、全国すべての学科の国立高専生が半導体に関するさまざまな知識・技術を習得できる体制を構築し、半導体の製造から企画・応用利用までをカバーする半導体関連教育の実践に向けて、九州・沖縄地区の9高専を中心とする「半導体人材育成事業」に取り組んできた。本事業を推進することで、日本における半導体人材の育成への貢献(ボリュームゾーン人材とトップ人材の輩出)と、高専教育の高度化を目指す。

高専機構が育成する人材像は「研究開発志向人材」と「実践的人材」の2つ。

「研究開発志向人材」は、半導体関連技術の最新動向を踏まえて、半導体製造の全体を俯瞰し、最先端技術(新材料や新機能デバイス、新たな製造技術など)の研究開発に参画できる知識と研究基礎力を備えた人材を指す。

もうひとつの「実践的人材」は、半導体に関連する電気・電子工学の知識と技術を習得し、半導体関連の材料、デバイス、電気・電子回路、集積回路に関わる、製作/分析/評価の一部の工程の実務に携わることができる人材、そして、機械系、材料系、情報系等のそれぞれの専門分野の技術に加えて、半導体製造に関する基礎知識を習得し、自身の専攻分野の知識と技術を半導体製造に応用できる人材を指す。

まずは拠点校(熊本高専・佐世保高専)及び実践校(九州・沖縄地区の高専)を中心に、オンライン授業も活用し、半導体教育に取り組んでいる高専それぞれの強みとリソースを生かした高専連携による半導体教育を先行実施した後、新たな半導体教育の実施とともに、全国の高専に順次展開する予定。

併せて、九州経済産業局が我が国の半導体産業基盤の強化を図ることを目的に設立した「九州半導体人材育成等コンソーシアム」に高専機構も参加し、九州地区の産学官の関係機関との連携強化を進めるとしている。

22.5.18news1

熊本高専でのクリーンルームでの実習の様子(高専機構プレスリリースより)