主要企業の賃上げ、2025年は前年を下回るものの高水準の見込み

一般財団法人労務行政研究所は2月5日、労使の当事者および労働経済分野の専門家を対象に行った、2025年の賃上げ見通しに関する調査の結果を発表した。

調査は昨年12月から今年1月にかけて実施。労働側については東証プライムおよびスタンダード上場企業の労組委員長ら、経営側については全国証券市場の上場企業および上場企業に匹敵する非上場企業の人事・労務担当部長ら、専門家については主要報道機関の論説委員・解説委員、大学教授、労働経済関係の専門家、コンサルタントらを対象とし、労働側265名、経営側116名、専門家104名の計485名から回答を得た。

その結果、2025年の平均賃上げ見通し(東証プライム上場クラス。定期昇給分を含む)は、上げ額で1万5,057円、上げ率で4.60%となった。いずれも2024年実績(1万7,415円・5.33%、厚生労働省調べ)こそ下回ったものの、高水準となった(画像参照)。

労使別では、労働側が1万5384円・4.70%、経営側が1万4856円・4.54%。労働側が経営側を528円・0.16ポイント上回った。

2025年の定期昇給(定昇)については、経営側で「実施する予定」が92.2%、労働側で「実施すべき」が90.2%。両者とも、大半が実施に前向きなことが伺われた。

一方、ベースアップ(ベア)については、労働側で「実施すべき」が94.0%であるのに対して、経営側で「実施する予定」は55.2%。それでも「実施しない予定」(14.7%)を大きく上回った。

賃上げ以外の人事施策を7つ挙げ、それぞれについて2025年春季交渉で話し合う予定があるか労使に尋ねたところ、「話し合う予定」の回答がもっとも多かったのは、労働側では「人材の採用・確保」(47.3%)。「時間外労働の削減・抑制」(30.0%)、「福利厚生の見直し」(29.3%)、「賃上げ以外の物価上昇対応」(28.3%)と続いた。

経営側では「話し合う予定」がもっとも多かったのは、労働側と同じく「人材の採用・確保」(31.5%)。「時間外労働の削減・抑制」(20.8%)、「育児・介護関連施策の導入・拡充」(20.0%)と続いた。全項目において「話し合う予定」の割合は労働側より少なかった。

調査結果の詳細は以下から見ることができる。
https://www.rosei.or.jp/attach/labo/research/pdf/000088548.pdf

労務行政研究所プレスリリースより