「人事は流行に従う」から脱却を 今、求められる「人と経営」の哲学

昨今、人的資本経営が注目されているが、経営学において「人のマネジメント」はどのように研究されてきたのか。人的資源管理を研究する神戸大学大学院・上林憲雄教授に、日本と海外における「人のマネジメント」の動向、日本企業の課題と展望について話を聞いた。

「人のマネジメント」に関して
経営学でパラダイムの転換

上林 憲雄

上林 憲雄

神戸大学大学院 経営学研究科 教授
1965年生まれ。神戸大学経営学部卒業、神戸大学大学院 経営学研究科博士課程前期課程修了、英国ウォーリック大学経営大学院ドクタープログラム修了。PhD.・博士(経営学)。2005年より神戸大学大学院経営学研究科教授。2018年4月~2020年3月、神戸大学大学院 経営学研究科長・経営学部長。日本労務学会 代表理事・会長、日本経営学会 理事長等を歴任。

── 人的資本経営のインパクトについて、どのように見ていますか。

経営学において「人のマネジメント」のパラダイムは、人事労務管理から人的資源管理へと移行してきた歴史があります。人事労務管理では人を「コスト」と捉えていたのに対し、人的資源管理では人を「企業に競争優位をもたらしうる重要な資産」と捉えました。

人的資源管理はヒューマン・リソース・マネジメントの訳語であり、「資源」という言葉が使われていますが、人をモノのように捉えているわけではありません。英語のresourceは、もっとポジティブなニュアンスが含まれる言葉です。例えば英語で「resource person」と言ったら、能力の高い人や中心人物を意味します。

(※全文:2321文字 画像:あり)

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