東京都、「少子化対策の推進に向けた論点整理2024」を発表

東京都は8月2日、「少子化対策の推進に向けた論点整理2024」を発表した。最新のデータや都民への意識調査等をもとに少子化の背景や要因を分析し、来年度予算に向け、政策検討における課題を整理している。

論点整理はまず、少子化の要因は 「婚姻数の減少」と「夫婦が持つ子供の数の減少」に大別されることを指摘(画像参照)。夫婦の理想子ども数と完結出生児数(最終的に何人の子どもを作ったか)は、2002年には全国でそれぞれ2.56と2.23であったのが、2021年には2.25と1.90と、緩やかに減少傾向にあることを紹介している。東京都ではこの数字はさらに悪く、今年度調査によると1.92と1.66であることにも触れている。

一方で、東京都が全国最低の「0.99」で話題となった「合計特殊出生率」は、自治体間での人口移動によって大きく変動する数字であり、注意が必要なことを指摘。合計特殊出生率とは、15~49歳までの女性の年齢ごとの出生率(産んだ子どもの数÷人口)を合計した値であり、分母には未婚者も含まれる。このため、進学や就職に伴う未婚女性の流入により、都市部の合計特殊出生率は低めに出る傾向がある。

実際、人口移動の影響を受けづらい「有配偶出生率」(出生数÷15~49歳の既婚女性人口×1000)は、全国の「72.9」に対して都は「74.9」(いずれも2020年)であることを紹介している。

その上で、少子化は社会の存立基盤を揺るがす国家的な課題であり、本来は政府が取り組むべきものであるが、一刻の猶予も許されないため、都として以下の3点を基軸に、先駆的な政策を実践していくとしている。

①複合的な要因や都の特性等に対応して、多角的な観点から対策を実施
②望む人が結婚から妊娠・出産、子育てをしやすいように、ライフステージを切れ目なく支援
③都・国・区市町村・民間企業等がそれぞれの役割のもと連携し、社会全体で取組みを推進

論点整理は以下から読むことができる。
https://www.kodomoseisaku.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/kodomoseisaku/2024_08_syousikarontenseiri_

少子化の要因。「少子化対策の推進に向けた論点整理2024」p. 4より