デジタル社会に対応した教育制度の見直し 規制改革推進会議が答申

政府の規制改革推進会議は6月1日、「規制改革推進に関する答申~デジタル社会に向けた規制改革の「実現」~」をまとめ、菅義偉首相に提出した。人づくりについて、デジタル技術の進展やオンライン教育の普及に伴い教育の在り方が見直される中、ICTを活用した学びの環境整備やデジタル時代に即した大学・高校設置基準等の見直し、特別免許状の活用など質の高い教員人材の充実に向けた取組等を求めた。

答申では柱の1つに「デジタル時代の日本を支えるイノベーション人材育成の環境整備」を掲げ、大学設置基準等の見直しについて、「遠隔授業の方法により修得する単位数の上限(60 単位)」の見直しの検討や、4年未満であっても卒業できるようにする卒業要件の見直しなどが盛り込まれた。また、「実務家教員」の定義(実務家教員の研究・教育実績の明確化)や学校名(どのような学校名なら認可されるか、不認可となるか、またその基準について)等について、大学等の設置認可の申請に当たり誰もが分かりやすい形で明示化することを求めた。

高校設置基準については、全日制・定時制と通信制のそれぞれの長所を生かしながら、教育現場の独自性が活かされるように、施設・設備要件をより柔軟な対応が可能となるようにすべきであるとしたほか、教員資格制度にかかる規制・制度について、多様な外部人材を教師として登用する際の「特別免許状」の利用を促進するため、手続面での見直しを行うとともに、要件の見直しを行うことを求めた。

さらに、「オンライン教育等にかかる規制・制度の見直し」として、オンラインを活用した授業の好事例を示し、学校現場の創意工夫の下、児童・生徒に寄り添った質の高い教育が行われるよう、学校現場を後押しすることがうたわれたほか、学習者用デジタル教科書の使用を各教科等の授業時数の2分の1に満たないこととする基準を撤廃することなどを求めた。

21.6.3news1

答申には「オンライン教育等にかかる規制・制度の見直し」などが盛り込まれた(画像はイメージ)

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