大学発ベンチャー数が、過去最大の伸び率を記録

経済産業省が発表した「大学発ベンチャー実態等調査」によると、2019年9月時点での大学発ベンチャー数は2566社で、2018年度の2278社から288社増加し、前年度比12.6%増と過去最高の伸びを記録した。

大学発ベンチャー企業数の推移

大学発ベンチャー企業数の推移

出典:経済産業省「令和元年度大学発ベンチャー実態等調査 結果概要」

大学発ベンチャーは、大学等における革新的な研究成果をもとに、経済社会にイノベーションをもたらす担い手として期待されている。同調査は、大学発ベンチャーの設立状況を定点観測するとともに事業環境やニーズ等を調査し、その成長に寄与する要因を分析することで、今後の政策展開に活用するために実施された。

大学別ベンチャー数のランキングでは、東京大学が第1位で268社。第2位は京都大学(191社)、第3位は大阪大学(141社)、第4位は東北大学(121社)だった。京都大学、大阪大学、東北大学は大幅に社数が増加しており、経産省は「これまで東大一強の状態だったが、トップ層ではその差が縮まりつつある」と指摘している。私立大学では、同率8位(85社)で慶應義塾大学と早稲田大学が入った。

分類別では、大学の研究成果を事業化する目的で設立された「研究成果ベンチャー」の比率が58.6%を占めた。在学生等が独自のアイデアで起業する「学生ベンチャー」は22.1%、創業者の技術やノウハウを事業化するために大学と共同研究等を行った「共同研究ベンチャー」は7.5%だった。

業種別では、バイオ・ヘルスケア・医療機器が最も多く、IT(アプリケーション、ソフトウェア)、その他サービスが続き、これまでの調査と同様の結果が出た。バイオ・ヘルスケア・医療機器の業種は、2018年度と比べ10%前後の伸び率となっている。

業種別大学発ベンチャー数の推移

業種別大学発ベンチャー数の推移

出典:経済産業省「令和元年度大学発ベンチャー実態等調査 結果概要」

地域別大学発ベンチャー創出数の推移では、関東が最も多く、近畿、九州・沖縄と続いた。2017年度と比較すると、中部、九州・沖縄、近畿の増加率が大きかった。

2019年1月末時点での大学発ベンチャーの IPO(株式公開)数は65社で、時価総額は2.5兆円となった。

また、経済産業省は同調査と併せて、「大学発ベンチャー チームビルディング事例集」も発表。事業分野における経験豊富な人材を獲得することにより事業化が加速した例などを紹介している。