文科省、「大学構造改革と理系学生の活躍促進」とりまとめを公表

文部科学省は8月2日、「進学者のニーズや人材需要に対応するための大学構造改革と理系学生の活躍促進に関するタスクフォース」の検討結果をとりまとめた。今回のとりまとめの背景として、令和4年5月に教育未来創造会議が公表した「我が国の未来をけん引する大学等と社会の在り方について(第一次提言)」において、政府として未来を支える人材を育む大学等の機能強化に取り組むこととされた。

しかし、日本における理工系学部への進学割合は17%(OECD平均は27%)にとどまり、理系人材育成の取組や、就職時に理系分野の専門性を生かせる機会の確保、若手研究者が専門性を生かして研究に打ち込み、成果が評価されるような支援が重要となっている。諸外国と比較して、責任ある社会の一員として夢を持ち、国や社会を変えられると思っている者が少ない等の調査結果があり、諸課題を解決し、より良い社会を創造しようとする人材の育成の観点からは憂慮すべき状況だ。

同タスクフォースでは、「初等中等教育」「高等教育」「科学技術人材の活躍促進」という3つの観点から、それぞれ課題認識や目指す姿、具体的方策について検討を行った。初等中等教育については、小学校段階からの理数教育・探究、SSH(スーパーサイエンスハイスクール)×文理融合、将来のトップサイエンスを支える人材の育成(多くの児童生徒が最先端の探究・STEAM教育を受ける機会の創出)といった施策の一体的な推進などを提言。

また、高等教育については、NIAD基金(成長分野をけん引する大学・高専の機能強化に向けた基金)選定大学と各関係者との連携の場の形成、NIADの機能強化、理工系学部における女子学生割合の向上の推進などを打ち出した。さらに、科学技術人材の活躍促進については、博士人材の汎用的能力の可視化に向けた取組や、新たな能力評価の手法やプログラムの開発・普及の推進などを提言した。同タスクフォースでは、とりまとめに記載した様々な施策を速やかに実行に移し、結果に結び付けることが何よりも重要であるとしている。

「進学者のニーズや人材需要に対応するための大学構造改革と理系学生の活躍促進に関するタスクフォースとりまとめ」の詳細については、下記を参照。

https://www.mext.go.jp/content/20230802-mxt_koutou01-000031235_2.pdf

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