「学校法人ガバナンス改革会議」最終報告書を受け議論が紛糾

12月3日に、文部科学省の有識者会議「学校法人ガバナンス改革会議」が提出した最終報告書の内容を受け、日本私立大学団体連合会と日本私立短期大学協会は12月6日、「学校法人のガバナンス改革に関する声明」を発表した。

声明では、「今日の学校法人には、公正さと透明性の高いガバナンスが求められていることは、論を俟ちません」としたうえで、「株式会社の最大のステークホルダーは株主であるのに対し、私立大学において最も重要なステークホルダーは学生とその保護者です。上記の提案は学生の視点が完全に欠落しています。学生と日頃接していない学外評議員だけで、私立大学の教育研究に関する運営の責任は取れません」と指摘。

今回の最終報告書で示された学外の人材のみで構成される評議員会が「学校法人の重要事項の議決と理事及び監事の選解任を自由にできるという制度では、学修者本位の教育環境は破壊され、評議員会が暴走しても止めることが出来なくなります」と、強い危機感を示した。

そして、最終報告書の内容に対する提案として「日々の教育研究に関する意思決定に関しては、理事会のリーダーシップを尊重するよう見直す」、また、理事会が暴走した場合の予防策として、「学外の監事が、理事会と評議員会の双方にアドバイスし、監事の意見に沿って、評議員会と理事会が相互にモニターすることで、互いに暴走を止める機能を備えた仕組みを構築する」ことを挙げた。

「学校法人ガバナンス改革会議」は近年相次ぐ私立大学の不祥事を受けて今年7月に設置されたもの。公認会計士や弁護士らが構成員となり、私立大学法の改正に向けて議論が進められてきた。私立大学の経営意思決定のあり方を大きく変える提案内容であり、今後、さらに議論が紛糾することになりそうだ。

21.12.8news1