長野県教育長 個人と社会のウェルビーイングの実現へ「探究」に力を注ぐ

教育が目指す姿として「個人と社会のウェルビーイングの実現」を掲げる長野県。現在、探究的な学びの充実やICTの活用、教員の働き方改革、共学共創による地域づくりなど、様々な施策を進めている。長野県の教育行政の取組と方向性について、内堀繁利教育長に話を聞いた。

個人と社会の
ウェルビーイングを実現する

内堀 繁利

内堀 繁利

長野県教育委員会 教育長
大学卒業後、東京都・長野県で公立高校教員。軽井沢高校長、長野県教委事務局高校教育課長などを歴任後、県高校長会長を務めながら、上田高校長として、スーパーグローバルハイスクールを核とした「パッケージ」としての学校改革に取り組み、2018年3月定年退職。同年4月から県教委事務局高校改革推進参与・高校改革推進役。長野県の学びの改革・高校改革を推進。2022年5月、県教委教育長に就任。中教審「新しい時代の高等学校教育の在り方WG」・全国知事会「これからの高等学校教育のあり方研究会」委員、「全国高校生マイプロジェクトアワード」サポーター(審査員)等も務める。

──長野県では、第4次教育振興基本計画の中で、目指す姿として「個人と社会のウェルビーイングの実現」を掲げられています。

私は以前、公立高校の教員を務めていました。多様な子どもたちと接し、「学校は何のためにあるのか」「学ぶとはどういうことか」「学びは人生にどのように関わるのか」など、根源的なことを考えるようになりました。そうした中で、ある時、「学びとは人が幸せになるためにあるのではないか」という考えに至りました。

また、一人ひとりが幸せを感じ、その幸せが持続するためには、社会もよりよいものでなければなりません。学びは人が幸福になり、よりよい社会をつくっていくためのものであると、自分なりに結論を出したのです。そして、OECD(経済協力開発機構)が掲げる「個人と社会のウェルビーイングの実現」は私のこの考えとも合致すると感じています。

かつての学校教育は、将来のために現在の理不尽な我慢を強いる側面もありました。例えば、「大学受験のために、…

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