阿部文科相、基礎研究振興強化の方針
2025年10月10日に行われた定例記者会見で、阿部俊子文部科学大臣は、京都大学の北川進特別教授のノーベル化学賞受賞に祝意を表し、受賞者からの提言を踏まえて日本の基礎研究の振興と研究環境の改善に一層取り組む考えを表明した。
ノーベル賞受賞者からの提言、政策に反映へ
会見の冒頭、阿部文科相は閣議で北川氏のノーベル化学賞受賞を報告したことを発表。「日本の研究水準の高さを世界に示すもので、国民の大きな誇りと励みになる」と祝意を述べた。
大臣は、北川氏と直接電話で会談したことを明らかにし、その中で第一に基礎研究の重視、第二に若手研究者の研究時間確保、第三に研究支援人材の必要性という3つの重要な提言があったと語った。これを受け、財政支援に加えて研究者の自由な発想を尊重し、基盤的経費を確保することで、息の長い基礎研究を支える環境を構築していくと強調した。
文部科学省公式ホームページより
研究環境の具体的な改善策として、大臣は「研究支援人材の体制整備」と、DX(デジタルトランスフォーメーション)の活用による「学内事務や申請手続きの負担軽減」を挙げ、研究者が研究に専念できる環境整備を総合的に推進していく方針を示した。また、大臣はJAXAから宇宙戦略基金事業(第2期)の初の採択結果が公表されることにも言及。文部科学省が担当する「月面インフラ構築に資する要素技術」も採択テーマの一つであり、今後も民間企業や大学の大胆な研究開発を全力で支援していく姿勢を鮮明にした。
教育勅語は活用せず
質疑応答では、教育現場が直面する課題についても見解が示された。高市新総裁の過去の発言に関連して「教育勅語」について問われた場面では、既に法的効力を失っており「教育現場で積極的に活用する考えはない」という従来の立場を改めて表明。また、秋田県の高校バレーボール部で発生した監督による暴力事件については、「大変遺憾に思う。体罰は決して許されない」と述べ、文部科学省として引き続き体罰の根絶に取り組んでいくと話した。