実技で創造性をみる 千葉大学の総合型選抜

国立大学法人千葉大学は、2022年春の入学生を対象に17歳から大学で学べる「飛び入学」プログラムの入試方式を拡充し、実技試験を含む総合型選抜による試験を、工学部総合工学科デザインコースにおいて開始することを1月8日に公表した。

※「AO入試」は2021年度入試より「総合型選抜」に名称が変更となる

総合工学科デザインコースプレゼンテーション講義の様子

総合工学科デザインコース プレゼンテーション講義の様子

工学部総合工学科デザインコースでは、従来、高校2年生向けの前期日程試験による試験「方式2」と、高校3年生向けの課題論述を行う試験「方式Ⅲ」を行っていたが、2022年度入学者より「方式2」をベースに総合型選抜を加えた「新方式」に移行する形だ。

千葉大学の飛び入学制度(=先進科学プログラム)は、高校2年修了後、通常より1年早く大学に入学して「若い才能」の発掘と科学者育成を促進する制度。少人数体制による独自カリキュラムや早期卒業制度、大学の費用負担による海外研修制度などを特徴としている。

現在は「物理学」「化学」「生物学」「工学」「植物生命科学」「人間科学」関連の6分野(理学部・工学部・園芸学部・文学部の4学部14クラス)で実施している。

本総合型選抜は、様々な事象に興味を持ち理解するとともに、モノ・コトを創造しイメージを形にすることが得意な高校2年生に対し、高度デザインを実践する人材育成を目指して、早期に大学の専門教育を受けるチャンスを広げるのが狙い。

総合工学科デザインコースに入学した飛び入学生は、得意な才能を活かし、デザイナーおよびデザイン研究者を目指せるように、1年次から一般入試で入学した学生とともに実質的なデザインに触れる教育が受けられる。

3年次の後期からは研究室に配属され、卒業研究を始めるという。成績優秀と認められた学生は、飛び入学に加えて早期卒業、海外研修、早期の大学院進学の可能性もある。

入試スケジュールは9月下旬~10月上旬を出願期間、10月下旬に総合型選抜を高校3年生とともに受験、と予定している。

具体的な選抜方式について、第1次判定では、調査票および予め与えられたテーマに沿って作成された論述課題および専門適性を判定する課題の内容を総合的に評価する。

実技では、前例に捉われない独創的なアプローチが問われる

実技では、前例に捉われない独創的なアプローチが問われる

専門適性をみる課題では、課題条件に対して多面的な思考に基づいた前例にとらわれない独創的なアプローチと、課題に対する自己の着眼点を明確に設定し、その考えを与えられた物品の特性を活かして具現化し、論理的に説明できる力を問うための実技が行われる。

第2次判定では、第1次判定合格者に対して、課題説明を含めた面接を行い、デザインコースで学ぶための資質と適性を総合的に評価するとしている。また、翌年2月には、千葉大学工学部の前期日程試験を受験(総合型選抜の合格者)し、同3月、最終面接(前期日程試験の合格者)を行う。最終判定では、総合型選抜の結果と前期日程試験の結果、面接の成績を合わせて総合的に評価するとしている。