日本学生支援機構奨学金の保証制度の展望 有識者会議が中間報告を公表

文部科学省が設置する「独立行政法人日本学生支援機構奨学金事業における保証制度の在り方に関する有識者会議」は5月8日、中間報告まとめを公表した。独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)の保証制度について、「将来的には機関保証への重点化を図ることが適当だと考えられる」とし、学生負担軽減のための具体的な保証料の設定方法等について具体的な検討を進めていくとしている。

JASSOは保証制度として奨学金制度発足時からの「人的保証」と、2004 年度に導入された「機関保証」による選択制で実施しており、2019年度の選択割合は人的保証が 43.7%、機関保証が 56.3%となっている。人的保証は、連帯保証人の高齢化や保証人を選任しづらい状況などの課題に加え、返還が滞った場合返還請求業務が増大している。一方、機関保証に関しても、自己破産・モラルハザード防止といった課題が指摘されている。

有識者会議は、保証人の成り手や児童数の減少を踏まえ、「平等の観点や機関保証の安定性の観点から、機関保証に統一していくことについて検討が必要である」としつつも、選択率は人的保証と機関保証でほぼ同等であることや、奨学金の回収状況は人的保証の方が回収率が高いことを考慮し、「慎重に検討することが必要である」とした。

将来的な機関保証への重点化においては、保証料算定の基本的考え方、保証料率の設定方法、保証料の徴収方法、本人のモラルハザードの防止方法、JASSOと公益財団法人日本国際教育支援協会(JEES)それぞれの役割・責務分担の整理、JEES の健全性確保のための在り方、奨学金制度を正しく理解してもらうための教育や仕組みづくり、について具体的に検討を進める必要があるとした。

中間報告まとめは文部科学省ホームページ(https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/097/1406203_00001.htm)から閲覧可能。2020.5.11(2)